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朝日新聞デジタル|更新|2015/05/14

認知症治療、犬が相棒 信頼築き生活に意欲、会話力も

介護老人保健施設高松アクティブホームのセラピードッグ
介護老人保健施設高松アクティブホームのセラピードッグ

 犬とのふれあいで認知症の改善を——。岡山市北区立田の介護老人保健施設「高松アクティブホーム」は、認知症患者らに対して「ドッグセラピー」をしている。犬との信頼関係を通して日常生活への意欲をもってもらい、リハビリにつなげるのが狙い。ふだんはコミュニケーションが取れない患者が、犬がいることで、会話ができるようになることもある。

 施設に入所する認知症の85歳女性は、今年1月からドッグセラピーに取り組んでいる。認知症のせいで落ち着きなく急に車いすから立ち上がるようになり、転んでけがをする心配があった。でも、話をしても意思疎通が図れなかった。


 セラピーは1回30分程度。5月上旬にあったセラピーでは、スタッフの三宅慶子さん(47)が柴(しば)犬「きび」(雄5歳)を女性のひざに置いた。すると女性は「まあ、来てたの。重いねぇ」。きびがひざの上で不安定な姿勢でいると「(私、抱くのが)下手じゃなぁ」と話し、三宅さんが「そんなことないですよ。じっとしてますよ」と会話が続いた。セラピー中、女性はきびに集中し、車いすから立とうとすることはなかった。

普段は意思疎通が難しい認知症の女性(85)もセラピードッグがいると会話が少しできる=いずれも岡山市北区立田
普段は意思疎通が難しい認知症の女性(85)もセラピードッグがいると会話が少しできる=いずれも岡山市北区立田

 ホームを運営する医療法人雄風会の元理事長で医師の生長豊健(いけながとよたけ)さん(68)によると、2002年2月以降、認知症患者や脳卒中患者ら400人以上にセラピーを実施している。現在は柴犬やラブラドルレトリバー、トイプードル、雑種の5匹がセラピードッグとして働いている。


 12年には、話が通じない認知症の高齢者8人(平均年齢85・5歳)にセラピーを週3回(1回40分)のペースで4カ月間行ったところ、あいさつや食事など日常生活やリハビリへの意欲を点数化した指標(10点満点)が、最初は平均2点だったのが5・5点まで上がった。


 これまでにセラピーで犬の名前を覚えられるようになった認知症患者もいるといい、生長さんは「薬による認知症の治療とは別に、介護保険でドッグセラピーが受けられるようにしたい」と話している。
(長崎緑子)

 

(朝日新聞 2014年5月10日掲載)