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朝日新聞・朝日新聞デジタル|更新|2015/05/18

熱中症、ペットもご用心 呼吸の増加・目の充血が危険信号

 ペットも熱中症になり、手当てが遅れれば、死に至ることもあります。専門家は「病気の知識があれば、必ず防げる」と言います。動物は苦しさを言葉で表現できません。代わりに、飼い主がしっかり注意する必要があります。

 

どう防ぐ? 散歩は早朝、冷房も

ペットの熱中症対策ポイント<グラフィック・別府拓>
ペットの熱中症対策ポイント<グラフィック・別府拓>

 東京都世田谷区で、病気や事故にあった動物の救急診療をする「TRVA夜間救急動物医療センター」。この時期は、2日に1匹は熱中症の動物が運ばれてくる。犬が多いが、ネコの場合もある。嘔吐(おうと)や下痢をして「胃腸の調子が悪い」というものから、体温が上がって体内で血を固める機能が働かなくなり、血を吐いて死亡するケースもある。
 ペット保険の「アニコム損害保険」によると、熱中症による保険の請求件数は、真夏だと月に250件前後になるという。医療センター院長の中村篤史さんは「前日まで元気だったペットが、急に悲惨な状況になるのが熱中症。どのペットにでも起こりえる死の病気です」と注意を喚起する。
 何より大切なのは、熱中症につながる環境を作らないこと。犬に欠かせない散歩も、日中は絶対に避ける。呼吸でしか放熱できず、毛をまとい、地面近くにいるため、熱中症になりやすい。できれば早朝の5、6時がいい。日没後の午後8時ごろに散歩する人が多いが、熱はまだ地面にこもっていて、真夏なら10、11時ごろまで厳しい。地面に手をあて、熱さを確認する習慣を身につけたい。
家にいるときは、冷房をつける。適温の目安は、落ち着いて呼吸ができているかどうか。ただ、呼吸の違いにはなかなか気づきにくい。普段の呼吸数の把握が大切だ。
 月刊誌「いぬのきもち」「ねこのきもち」(ベネッセコーポレーション)は、毎夏、熱中症対策を特集している。編集部に寄せられた読者の声からは、飼い主が思わず油断しがちな場面がわかる。
 ネコは、「留守番中に冷房をつけていたのに、帰宅したらキャットタワーの上でぐったりしていた」「日があたって暑い場所で寝込んで熱中症になった」などの事例があったという。「自分で涼しい場所を探すのが得意と思われがちだが、性格にもよるのだろう」と担当編集者。
 犬は、「節電のためと弱冷房にしていたら熱中症になった」「見知らぬ人が来て興奮してほえ続けているうちに熱中症になって死亡した」という事例もあった。担当者は、「涼しいからと全身の毛を短く刈ると、おなかに高温になった地面の熱が直接当たってしまう。こうした落とし穴にも気をつけてほしい」と話す。

 

どう対処? 体温下げて水分補給

 万一、熱中症になってしまったらどうしたらいいか。熱中症は、高体温と脱水が起きている状態だ。(1)体温を下げる(2)水分を飲ませる、がカギになる。
 呼吸回数の増加や目の充血がみられたら、黄信号。風通しのよい木陰や冷房が効いた室内などに移動し、太い動脈に近い首回りや内股に氷やアイスパックをあてたり、水をかけたりして、体温を下げる。ネコが舌を出して「ハアハア」と呼吸をしているときはかなり深刻なので、すぐに病院に行ったほうがよい。
 水を飲みたがらないときは、ご飯や牛乳、ヨーグルトと混ぜると、飲んでくれることがある。牛乳などでおなかをこわさないペットの場合には、試してみたい。確実に飲む方法を見つけておけば、いざというときに慌てない。
 中村さんは、ペットを亡くして自責の念にかられる飼い主を見てきた。「熱中症と気づいて連れてきたときには、すでに重い状態であることが多い。ペットをよく観察し、いつもと少しでも違うところがあれば、ぜひ病院に連れていってください」
 アニコム損保の詳細はサイトには、熱中症の注意報や普段から気をつけたいチェックポイントが載っている。ドライブ時の注意点については、トヨタドッグサークルが詳しく紹介している。
(中林加南子、丸山ひかり)

 

(朝日新聞 2013年7月30日掲載)