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朝日新聞・朝日新聞デジタル|更新|2015/12/22

保護猫カフェ 命救う道、ふれあい第一歩 /東京都

シェルターを兼ねた保護猫カフェで悠々と眠るネコ。ケージの外にいるネコには自由に触れることができる=東京都豊島区、井手さゆり撮影
シェルターを兼ねた保護猫カフェで悠々と眠るネコ。ケージの外にいるネコには自由に触れることができる=東京都豊島区、井手さゆり撮影

 あなたは、「保護猫カフェ」をご存じだろうか。飼い主募集中の猫がいる猫カフェ。殺処分されそうな捨て猫を助ける団体が運営していることが多い。

 気に入った猫がいれば引き取れるし、ただカフェを利用するだけでも、そのお金が猫のために使われる。猫と遊ぶだけで、猫の命を救える。なんともステキなシステムだ。元野良の愛猫と暮らす記者としては、ぜひともおすすめしたい。



 今や全国に広がる保護猫カフェだが、2008年オープンの「東京キャットガーディアン」(豊島区)は、その先駆けだ。
 JR大塚駅から徒歩5分。5階建てビルの最上階約100平方メートルに、80匹もの猫が暮らす。

 脱走防止用の扉を開けると、天窓から、さんさんと日が降り注ぐ。きれいなしま模様の猫が、足元にすうっと寄ってきた。キャットタワーのてっぺんでは、全身に日を浴びた長毛猫が、寝息を立てている。そっとおでこをなでると、薄目を開けて、また眠る。

 利用者は、ケージの外に出ている猫と自由にふれあえる。猫じゃらしを振って遊ぶもよし、眠る姿をめでるもよし。

「楽しい場所でありたい」。運営するNPO法人の山本葉子代表(54)は言う。「可哀想でしょ?」と猫を押し付けることは、したくない。猫と触れあう中で「自然にホレてほしい」。他にも都内2カ所で保護猫カフェを運営し、今年3月までの合計譲渡数は4164匹にのぼる。



 猫カフェの人気は、今や世界規模だ。米国やロシアなど海外でも続々開店している。ただ、猫カフェは費用がかさむ。場所代、エサ代、人件費。営利ではなく、猫の命を救う目的の保護猫カフェは、なおさら運転資金に困る。

「保護猫カフェは、ソーシャルビジネス」。こんなテーマの本を、山本さんは執筆中だ。個人が身銭を切り、追い詰められるようでは「殺処分ゼロ」の目標には届かない。環境省の調査では、13年に全国の保健所に収容された猫で、殺処分されたのは9万9671匹。一方で個人や団体に譲渡されたのは、1万6015匹にとどまる。お金が回る仕組み作りは重要だ。

 山本さんは、保護猫カフェ以外にも様々な事業を手がける。部屋と一緒に猫を借りる猫付きマンション。ペット可の不動産情報を集めたサイト。代金の一部が募金になる猫グッズの通販もやる。その収益で新たな猫の命を救う。

 東京キャットガーディアンは、NPO法人でありながら、有償の常勤職員が10人、年間予算は6千万円にもなる。「猫を救う道を広げるため、ペット産業がやることは全部やりたい」。山本さんの頭の中は、アイデアでいっぱいだ。

 本の共著者で、ニッセイ基礎研究所の松村徹・不動産研究部長は「保護猫カフェや猫付きマンションは人気があり、空室に悩む不動産業者にも利がある」と語る。猫カフェを利用する高齢者施設もあるという。「街の魅力を高めるためにも、保護猫カフェというソーシャルビジネスが役に立つのでは」。ちなみに松村さんも、猫5匹と暮らす、猫好きだ。
(原田朱美)

◆キーワード
<保護猫カフェ> 環境省の2013年の調査では、全国の猫カフェは225店舗。そのうち、譲渡活動をしていた保護猫カフェは21%。譲渡の条件は店によって異なる。

(朝日新聞2015年5月22日掲載)