秋田犬で外国人呼びたいわん 「ハチ公」の故郷、秋田・大館

ロシアのプーチン大統領に贈られた秋田犬の母犬「ララ」=秋田県大館市
ロシアのプーチン大統領に贈られた秋田犬の母犬「ララ」=秋田県大館市

 訪日外国人旅行客が急増し「爆買い」が話題になるものの、秋田を訪れる外国人の数は振るわない。そんな中、秋田県仙北市は農家民宿などの新機軸で東日本大震災前の水準に戻した。大館市は海外でも人気がある「akitainu(秋田犬)」で呼び込みをはかる。

 

 仙北市の外国人宿泊者数は、韓国ドラマ「アイリス」のロケ地となり、ブームにわいた2010年が約2万4千人。震災翌年の12年は6200人まで落ち込んだが、昨年は約2万2200人まで回復した。
 

 10年当時は韓国人が中心。今は台湾やタイなどからも訪れる。市は「国の幅も広がり、今はむしろ震災前よりいい」と手応えを感じている。一つの国に偏ると、外交関係が悪化した際に観光客が減るなどの「カントリーリスク」が生じるが、複数国なら安定した集客が見込めるからだ。
 

 仙北市は豊かな自然に加え、武家屋敷や温泉などの観光資源に恵まれる。市は昨年度から農山村体験にも力を入れ、「日本の原風景を味わい、住民との交流も楽しんで」と、外国人に農家民宿を紹介している。市農山村体験デザイン室の福田成洋室長は「非常に好評。これからもPRを強めたい」と話す。
 

 外国人旅行客の中には、観光地ではなく「ラーメン」や「アニメ」といったそれぞれの関心事で来日する人も多い。大館市はそうした点に着目し、市ゆかりの「忠犬ハチ公」で知られる秋田犬を前面に出して売り込みをはかる。

 

外国人向け旅行情報サイトのマイカル・カナート編集長は「秋田犬は世界的に有名だが、秋田県を知らない人は多い」と言う。市によると、インターネット大手検索サイトで、akitainuに関する検索数は、外国人に日本の観光地で最も有名とされるhakone(箱根)の2・5倍。担当者は「秋田犬は観光客を呼び込む強力なきっかけになる」と話す。

 

 市は、外国の秋田犬ファンを呼び込むため、周辺の市町とともに、4月にも「秋田犬ツーリズム」(仮称)の組織を発足させ、地域情報を海外に発信する。さらに19年度までにJR大館駅周辺で観光拠点施設「ハチの駅」を建設するほか、秋田犬ふれあい広場なども整備する計画だ。
 

 大館市の外国人宿泊者数は10年が427人で、15年は586人にすぎなかった。市は19年に8千人にする目標を掲げる。

 

(斎藤茂洋)

 

 

 <外国人宿泊者数> 観光庁は2月末、2015年の速報値(延べ数)を発表した。国内全体では6637万2660人で、東日本大震災前(10年)の2602万3千人の2・6倍に急増。一方、秋田県は5万3120人にとどまり、震災前の6万人余の水準に戻っていない。国内全体に占める割合も0・08%で、増え続ける訪日外国人を呼び込めていない。

 

朝日新聞
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