保護猫「庭」を旅館がCFで計画 コンテナで保護施設

めのわを抱く手島英樹さん。奥の庭が「猫庭」の予定地=山口市
めのわを抱く手島英樹さん。奥の庭が「猫庭」の予定地=山口市

 山口県内の保健所などが引き取って殺処分した犬や猫が2014年度、4730匹に上り、47都道府県で3番目に多かったことが環境省のまとめでわかった。そんな中、山口市阿知須の「てしま旅館」では、旅館の庭を活用して捨て猫を保護する「猫庭」づくりに乗り出している。

 

 県は、犬や猫を大切に育ててもらうための「動物愛護管理推進計画」をつくり、23年度の殺処分を1900匹以下にする目標を掲げる。1998年度の1万1820匹以降、減少傾向をたどっているが、依然高水準にある。
 

 特に猫の殺処分が多く、2014年度の4730匹のうち、3530匹が猫。犬の殺処分は10年度から年々減っているが、猫はほぼ横ばいだ。県の担当者は「野良猫が減らないことに加え、犬と比べて猫は保健所にもらい受けに来る人が少ない」と話す。

 

「猫庭」づくりに取り組むのは、同旅館社長の手島英樹さん(39)。もともと猫は苦手だったが、2年前に転機が訪れた。
 

 近所の人が拾った1匹の猫。助けを乞うような様子に根負けし、引き取った。「めのわ」と名付け、育てるうちに「気持ちがめいっている時も、そっとそばにいてくれる」とほれ込んだ。いまでは、自宅で4匹を飼う。
 

 猫を飼うようになってから、道路で猫が車にはねられているのを目にしたり、飼い主が高齢のため飼い続けられなくなったというのを耳にしたりするたび、「何かできないか」との思いを募らせた。
 

 だが、自宅で飼う数には限界があり、旅館の広い庭を柵で囲い、「猫庭」にすることを思いついた。
 

 同旅館では、客がいない昼間の時間を利用し、高齢者のデイサービスを手がけており、野良猫を見て会話を弾ませる利用者もいたことから、「お年寄りやお客さんの癒やしになればいい」とも思ったという。

 

「猫庭」には、JR貨物のコンテナを二つ購入して設置し、コンテナ内に冷暖房を備え、風雨や猛暑をしのげるようにする。庭は高い柵で囲い、道路や近隣に出られないようにする。コンテナの一面はガラス張りにし、ロビーの客らが猫の様子を眺められるように工夫するという。
 

 建設費は400万円。現在、インターネットを通じて寄付を集める「クラウドファンディング(CF)」で支援を募っている。支援者には金額に応じ、宿泊や猫の名付け権などをプレゼント。猫のエサや去勢・避妊手術などにかかる費用は、旅館の売り上げから捻出する予定で、獣医師にも協力を依頼しているという。
 

 手島さんは「旅館にこういうものができれば、人々の意識も変わってくると思う。ぜひ協力をお願いしたい」と話している。
 

 支援は、「READYFOR」のサイトから、4月5日まで。問い合わせは同旅館(0836・65・2248)へ。

 

(栗林史子)

 

朝日新聞
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