犬528匹、猫165匹が「落とし物」 東京都内

届けられた傘が保管庫を埋め尽くしている=東京都文京区の遺失物センター
届けられた傘が保管庫を埋め尽くしている=東京都文京区の遺失物センター

 東京都内の落とし物が増え続けている。警視庁に届けられた拾得物は昨年1年間で378万件を超え、過去最多を更新。梅雨のこの時期、増えるのは電車に置き忘れられた雨傘だ。傘を取りに来る人は1%に満たず、保管場所に困る警視庁は「忘れっぱなし」に手を焼いている。


 200坪のフロアで、鉄柵に囲まれたワゴンにギチギチに詰められた傘は約9万本。東京都文京区にある警視庁遺失物センターの保管庫には、落とし主が現れるのを待つ傘であふれている。


 昨年1年間に届けられた傘は約43万本。「ひと雨3千本」とも言われ、梅雨の時期は最も多くの傘が持ち込まれる時期でもある。電車での置き忘れが多く、保管庫では鉄道会社ごとに分けて預かっている。


 センターによると、置き忘れた傘を取りに来る人はほとんどいない。返還率は0・7%といい、携帯電話の82%、現金の73%、財布の64%と比べて極端に低いのが現状だ。傘は、法律上の保管期限の3カ月を過ぎれば鉄道会社に戻す。JR東日本では、戻ってきた傘は一部を売却し、残りは処分するという。


 都内の拾得物の届け出は近年、過去最多を更新し続けている。昨年の拾得届は1989年の128万件から3倍近くに増加。「モバイル化」が進み、携帯電話やゲーム機などの落とし物が急増したのも一因だ。


 センターの保管庫は満杯状態で、現在は保管スペースを約4割広げるための改修工事を進めている。増え続ける落とし物に、遺失物センターの須賀隆所長は「あらゆる物が安く手に入るようになり、物を大切にする気持ちが薄れていることが背景にあるのではないか」と分析する。

 

 落とし物の内訳で最も多いのは、免許証などの「証明書類」で50万2943件。帽子や手袋などの「衣類履物類」が46万1559件、次いで「傘」と続く。


 動物も少なくない。昨年は犬528匹、猫165匹に加え、インコ114羽、カメ80匹が届けられた。ヘビやトカゲ、イグアナといった珍しい爬虫(はちゅう)類もいる。動物は一時的に警察署などで世話をする。犬や子猫は、落とし主や引き取り手が見つからなければ動物愛護相談センターに引き取られることもあるという。


 珍しいものとして、昨年は賃貸住宅内に置き忘れた「お骨」も。遺骨を捨てれば死体遺棄罪にあたる可能性もあるため、経緯を詳しく調べる必要がある。だが、このときは事件性が確認できず、持ち主も現れなかったため、自治体の無縁墓地に納骨したという。


(遠藤雄司)

朝日新聞
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