被災した犬猫の収容限界、進まぬ譲渡 熊本県動物管理センター

熊本県動物管理センターに収容され、新たな飼い主を待つ猫たち=7月3日、熊本市東区
熊本県動物管理センターに収容され、新たな飼い主を待つ猫たち=7月3日、熊本市東区

 熊本地震発生からまもなく4カ月。県動物管理センターは地震以降、特別措置として殺処分機を止め、飼い主とはぐれるなどした犬猫の引き取り手を探している。すでに収容限度を超えているが、譲渡はあまり進んでいない。

 熊本市東区で今月7日にあった譲渡会。北九州市から家族で訪れた高根里実さん(8)は雑種のオス犬を選び、散歩を楽しんだ。母親の幸恵さん(44)は「思いっきり可愛がってあげたい」とほほ笑んだ。この日も多くの家族連れらが訪れたが、引き取られたのはこの1匹だけだった。

 熊本市は政令指定都市として「殺処分ゼロ」に独自に取り組んでいるが、熊本県では従来通り犬猫を殺処分してきた。だが地震発生後、飼い主とはぐれたとみられる犬猫が数多く保護されたため、最初の震度7を記録した4月14日の翌日から殺処分機を止めた。

 県は7月29日までに犬446匹、猫692匹を保護。飼い主を探すなどしてきたが、同日現在でも同センターには犬40匹、猫84匹、各保健所にも犬が計79匹、猫が計58匹保護されている。同センターの石原貢一所長によるとセンターでは犬40匹、猫30匹程度の収容が限界という。

 県では犬は3日間保管した後、飼い主が名乗り出ない場合は殺処分できるが、「地震で不幸にも迷子となり、飼い主が見つからない子たちを何とか助けたい」(石原所長)という思いで、のべ300人以上のボランティアらと犬猫の面倒を見てきた。

 打開策は新たな飼い主への譲渡。だが、個人譲渡会でも成犬・成猫は多くが残ってしまう。県内の登録動物愛護団体には既に犬約100匹、猫約300匹を渡しており余力は少ない。

譲渡会で選んだ犬をなでる高根里実さんと母幸恵さん=熊本市東区
譲渡会で選んだ犬をなでる高根里実さんと母幸恵さん=熊本市東区

 今後、被災者の生活再建が進むと、転居などに伴い飼育を断念するケースが出てくることも想定される。石原所長は「殺処分機を再び動かすような事態は望まないが、いつまで今の形で続けられるかはわからない」と話す。

 県外の団体への譲渡は、飼育管理状況が把握できないため、県は認めていない。状況を打開しようと、5月以降、東京都渋谷区などで動物シェルターを運営する一般社団法人「ランコントレ・ミグノン」が地元の動物愛護団体と連携を始めた。いったん県内の団体に譲渡された犬猫をミグノンが引き取る形で、間接的に団体譲渡を実現。これまでに熊本県から犬30匹、猫46匹を連れてきた。

 ミグノンでは毎月第2日曜と第4土曜に東京・北参道のシェルターでの譲渡会で新しい飼い主を探している。問い合わせはメールで。

(太田匡彦、板倉大地)

朝日新聞
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