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朝日新聞・朝日新聞デジタル|更新|2016/12/26

「ふるさと納税」で犬の殺処分ゼロ 名古屋の動物愛護センター、寄付金を治療費やえさ代に

寄付金のおかげで殺処分を免れ、新しい飼い主を探しているラッキー(推定10歳)=名古屋市千種区
寄付金のおかげで殺処分を免れ、新しい飼い主を探しているラッキー(推定10歳)=名古屋市千種区

 ふるさと納税制度を活用して、引き取り手のない犬の「殺処分ゼロ」を目指せ――。名古屋市が今年度、市動物愛護センター(千種区)に収容されて新たな飼い主を待つ犬のえさ代などを、ふるさと納税による寄付金で賄う制度を始めた。8カ月間で約450万円が集まり、今年度、殺処分された犬はいない。だが収容する犬の数が増えれば殺処分は避けられず、引き続き飼い主を探している。


 4月から始まったふるさと納税の「犬殺処分ゼロサポート寄付金」は、豪華な返礼品はないが、11月までに市内や近郊の住民・企業などから約230件の寄付があった。個人の場合、年収に応じた枠内で、寄付額のうち2千円を超える分を住民税などから控除することができる。


 センターでは昨年度、23匹の犬が殺処分された。人をかむ事故を起こしたほか、高齢や病気など、新たな飼い主が見つかりにくい犬ばかりだったという。収容された犬は、センターや、一時預かるボランティアの下で、人に慣れる訓練を受けたり、治療を受けたりする。寄付金は、飼い主が見つかりにくい犬のえさや医療費、ボランティアへの物資支援などに充てられている。寄付金で訓練や治療が続けられれば、しばらくは殺処分をしなくても済むという。


 細身で茶色の犬「ラッキー」は人をかんでけがをさせたため、6月にセンターに連れてこられた。初めは人を警戒していたが、職員が訓練をするうちに「お座り」や「待て」の命令に応えるようになった。「以前なら殺処分される可能性が高い子だった」と職員は話す。寄付金のおかげで、今も新しい飼い主を待ち続けている。

 

山本真由美さんと、名古屋市動物愛護センターから引き取った「先生」=名古屋市東区
山本真由美さんと、名古屋市動物愛護センターから引き取った「先生」=名古屋市東区

■「収容増えれば、また…」

 だが、殺処分を一時的に免れても楽観できない。同センターの石川登紀子所長(57)は「収容数が増えれば、また殺処分しなくてはいけなくなる」と悩む。現在、センターには約30匹の犬を収容中。来年度も寄付金が集まるかは未知数だ。寄付制度開始後も引き取り先を探し続ける。今年度は11月末現在で、59匹がボランティアや新しい飼い主に引き取られた。


 ボランティアで犬や猫の保護をする同市東区の山本真由美さん(48)は10月、推定15~18歳の雄の高齢犬を引き取り、「先生」と名付けた。初めは遠ぼえを夜中に繰り返したため、夜泣きの赤ちゃんをあやすように抱いて過ごした。新しい家で過ごすうちに安心したのか、遠ぼえがやんだ。「尿もれしたり、足元がふらついたり。大変さもあるけど、うれしさや楽しさをもらうことの方が多い」

 

名和さん夫婦と、名古屋市動物愛護センターから引き取ったサンタナ=名古屋市南区
名和さん夫婦と、名古屋市動物愛護センターから引き取ったサンタナ=名古屋市南区

 同市南区の名和雄三さん(73)、知子さん(71)夫婦も8月、人をかむ事故を起こした推定6歳の雄の犬「サンタナ」を引き取った。知子さんが触ろうとすると優しく手をなめた。「人をかむような子ではない。うちで飼おう」と決めた。


 石川所長は「飼うのは負担もあるが、幸せをもたらしてくれることもある。理解のある人にもらっていただきたい」と話す。


(日高奈緒)

 

新しい飼い主を探している子猫=名古屋市千種区の市動物愛護センター
新しい飼い主を探している子猫=名古屋市千種区の市動物愛護センター

■猫でも検討

 昨年度、名古屋市で殺処分された猫は873匹。市動物愛護センターは「寄付金でもゼロにできる数には遠い」としているが、将来的には同様の寄付制度を検討している。センターに持ち込まれる猫はほとんどが野良の子猫。市は野良猫の去勢手術をしたうえで、地域ぐるみで世話をする「なごやかキャットサポーター活動」を進めている。