歯ブラシ、介護食… ペットは家族、 健康志向で市場も拡大

犬のぬいぐるみを使ってペット用の新しい歯ブラシの使い方を説明するライオン商事の担当者=東京都墨田区
犬のぬいぐるみを使ってペット用の新しい歯ブラシの使い方を説明するライオン商事の担当者=東京都墨田区

 犬や猫のペット関連用品で、日用品メーカー各社が新製品を相次ぎ投入している。飼い主にとり、ペットが「飼う」対象から、「一緒に暮らす」存在となり、市場が広がってきたからだ。家族と同じように健康や高齢化を気遣い、お金をかける傾向にあるという。


 ライオン子会社のライオン商事は1日、犬・猫用の歯ブラシ新商品「ペットキッス 指サック歯ブラシ」を4月に発売すると発表した。ぐにゃりと曲がるのが特徴。従来の棒状ブラシだと歯ぐきに当たってペットが嫌がり、歯みがきが難しいという飼い主に対応した。先端のブラシも小さくし、奥歯まで磨けるという。想定価格は税込み650円前後。歯みがきジェルや、歯みがき代わりになるおやつも投入する。

ライオン商事のペット用歯ブラシ=同社提供
ライオン商事のペット用歯ブラシ=同社提供

 同社によると、歯ブラシを週1回以上使う犬の飼い主は2013年の9%から16年には23%に増加したという。永井隆志社長は「ペットと快適に暮らしたいとの意識が高まった。特に歯みがき市場は今後、2~3倍に増える」と期待する。室内飼育が増えるなか、ペット用のシャンプーやペット用品を洗う洗剤の商品も拡充させている。


 花王は室内で使う猫用トイレを販売。トイレの中に消臭効果があるとされる木製のチップと、尿を吸収するマットを敷き、体調が優れない時にマットを抜いて尿を確認できる。ペットの高齢化も進み、ユニ・チャームは昨年11月、高齢犬の床ずれなどを防ぐ介護マットや、その上に敷く悪臭や皮膚炎を防ぐシートといった新商品を全国の動物病院で売り出した。高齢の犬・猫向けの軟らかいペットフードも充実させている。


■1.4兆円市場、異業種も注力


 ペットフード協会によると、犬・猫の全国飼育頭数は16年で約1973万頭。犬が減る傾向で5年前に比べて全体で約182万頭減った。ただ、「ペットへの支出は増えている」(永井ライオン商事社長)。実際、矢野経済研究所によると、16年度のペット関連市場は5年前から5・6%増の1兆4845億円になると予測、堅調に伸びている。


 市場拡大を見込み、ペットと縁遠い異業種もペット向け商品に力を入れている。情報通信技術を活用した愛犬見守りサービスを展開するのは富士通。昨春からは首輪につけるセンサーを小型化し、犬の歩数や体をふるわせた回数を把握。行動パターンを分析して「リラックス」「落ち着きがない」といった犬の状態を認識し、飼い主のスマートフォンに知らせる。

富士通が昨春に始めたサービス「わんダント2」。首輪につけた小型センサーが犬の動きをとらえ、飼い主に知らせる=富士通提供
富士通が昨春に始めたサービス「わんダント2」。首輪につけた小型センサーが犬の動きをとらえ、飼い主に知らせる=富士通提供

 ペット用医薬品では、化学繊維大手の東レが1月、猫の慢性腎臓病治療薬「ラプロス」を開発し、国から製造販売の承認を得たと発表した。腎機能の低下を抑える猫用治療薬は世界初だといい、4月から販売する。


(西尾邦明、宮崎健)

朝日新聞
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