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朝日新聞・朝日新聞デジタル|更新|2017/02/18

「公務員獣医師」が足りません!  岐阜大の獣医学生、インターンシップ必修に

牛の採血をする宮木乃里子さん=岐阜県高山市の県畜産研究所
牛の採血をする宮木乃里子さん=岐阜県高山市の県畜産研究所

 岐阜県職員として家畜の病気予防などに取り組む獣医師が不足している。獣医師というと身近な犬や猫などペット診療のイメージが強く、県は「公務員獣医師」のやりがいを感じてもらおうと、新年度から岐阜大学の学生を対象に本格的なインターンシップを始める。


 今年1月、山県市の養鶏場で鳥インフルエンザが発生し、8万羽を超す鶏が殺処分された。昨年4月に採用され、高山市の県飛驒家畜保健衛生所で獣医師として働く宮木乃里子さん(26)は、「農場での採血や農家への聞き取りでほぼ24時間働いていた」と振り返る。


 鳥インフルエンザに感染しているかどうかの検査は、家畜を担当する獣医師が専門的に行った。「家畜の病気予防は、動物はもちろんのこと、肉を食べる人間の安全につながる」。公務員獣医師として使命感に燃えた宮木さんは、ほとんど寝ずに対応した。


 県畜産課によると、家畜の感染症予防や農家への防疫体制の指導、食肉検査などの食品衛生管理が公務員獣医師の主な仕事だ。昨年度、県で家畜を担当する獣医師は定員より11人足りない67人。2015年度までの5年間で6人が中途退職した。鳥インフルエンザや口蹄疫(こうていえき)など家畜の伝染病予防を強化する体制は不可欠で、県の担当者は「こうした仕事の意義を理解する獣医師を確保したい」と話す。


 県はこれまでも、獣医師の養成課程をもつ岐阜大学と家畜衛生に関する教育や防疫などで協力を進めてきた。同大敷地内に中央家畜保健衛生所を移転する新年度からは、公務員獣医師の仕事を体験するインターンシップが、獣医学を学ぶ5年生の必修科目となる。


 学生には病理解剖実習や疾病検査、畜産農家での保健衛生指導など家畜保健衛生所の業務を体験してもらい、公務員獣医師を志望するきっかけにしたいと考えている。


 宮木さん自身、高校時代まではペット診療が身近な存在だった。家畜と接した大学の授業を通じて公務員獣医師に関心を持ったといい、「家畜を対象にした公務員獣医師の苦労もやりがいも知った上で、志望してもらえれば」と願っている。


(吉川真布)