夫婦と雄猫4匹が同居 猫だらけの家は「賑やかな猫男子寮」

チューチューと秋夫妻(2017年1月)
チューチューと秋夫妻(2017年1月)

「去年、銀婚式を迎えましたが、猫が絶えたことがない。今は雄ばかりの猫男子寮ですが、楽しいですよ」

 

 作曲家の秋透さん(60)と、妻で同業の敦子さんの家は、東京都町田市の住宅街にあるテラスハウス(2階建て・3LDK)。現在、9歳から14歳までの4匹の雄猫と暮らしている。

 

(末尾に写真特集があります)

 

 まずはこちらへ、と1階の居間に通されると、そこにキジトラの猫がのんびりと寝ていた。

 

「9歳のチューチュー。ここに引っ越して5年めに迎えた元野良の子です」

 

 

リビングに住むチューチュー。日中はママと一緒
リビングに住むチューチュー。日中はママと一緒

 もともと夫妻はこの家に猫3匹を連れて越してきた。当時生後4か月だったシャム猫の兄妹カムイとコンコ、生後2か月だった雑種の雌オーチャンだ。

 

 1年後に、生後7か月までペットショップにいたアメショーの雄クーカイが加わり、その翌年には譲渡会で会った生後2か月の雑種の雄アポロが加わった。

 

 あっという間に猫5匹(雄3匹、雌2匹)の大家族になった。それと同時に、男同士のバトルが勃発した。

 

アポロ。趣味はクーカイをからかうこと
アポロ。趣味はクーカイをからかうこと

「アポロが来てから クーカイがストレスで1階のピアノの下にマーキング(匂いつけ)を始め、そうしたら、それまでしなかったカムイまでするようになって」

 

 

トイレを多めに置くなどして対策したが、さらに、変化が起きる。

 

びびりのクーカイ。アポロが怖くてパパに守ってもらってます
びびりのクーカイ。アポロが怖くてパパに守ってもらってます

 引っ越して4年目、敦子さんは外の勤めを辞めて、家でピアノのレッスンをするようになった。以前より時間ができると、周囲の外(野良)猫が気になりだした。

 

 捕獲器まで買って避妊去勢をし、餌やりをして。唯一、去勢ができないほど老いていたマダラ模様の雄猫がある時、生後2か月ほどの子猫を引き連れて庭にやってきたという。

 

「『すまねえがこいつも面倒みてやってくれ』って感じで、子猫を差し出した。その子猫が人懐こくて、自分から部屋に入ってきたんですよ。それがこのチューチューなんです」

 

 チューチューならフレンドリーだし、室内で暮らせると思い、動物病院でワクチンを打ち、血液検査をした。すると、FIV(人のHIV、猫のエイズ)陽性だとわかった。

 

「エイズだけど飼ってあげたい」「でもうちの猫はみんな陰性だよ」

 

 夫婦で相談した挙句、感染を防ぐためにチューチューと先住猫を分けて生活させることにした。5匹の住まいを2階に移動させ、チューチューだけを1階の居間に置くようにしたのだ。ただしチューチューが上に行きたがるので、一日一度だけ“フリータイム”を設けて(注意しながら)会わせるようにしたという。

 

「2階は40平方メートルくらい。3部屋に5匹住まわせるのにちょっと無理があったのかな。アポロがクーカイをからかったり、猫の勢力図が変わりました。猫に会いにいきますか?」

 

14歳のカムイ。体が少し弱いけど、秋家のボス的存在だ
14歳のカムイ。体が少し弱いけど、秋家のボス的存在だ

 2階に上がると、14歳のシャムのカムイが、とことこと出迎えてくれた。スマートだが元気そうだ。14歳のアメショー・クーカイと、12歳の白黒アポロは、電子ピアノの陰にぱっと隠れてしまった。

 

「この2匹、普段は仲が悪いのに、人が来るなど緊急時にはくっついて避難するんです(笑)」

 

 夫妻は、猫たちのストレスがたまらないように、あることを考えた。それは毎朝、庭で日光浴をさせることだ。敦子さんが説明する。

 

「主人が庭の縁台で朝食を取りながら“見張り番”をして30分から1時間。猫たちは朝ごはんの後、1階の廊下でニャーニャー鳴いて待つんです。みなリードをつけますが、自ら前足を通すように準備するんですよ」

 

 カムイ、クーカイ、アポロの2階チームのトリオはそれぞれ、塀の外の遊歩道を見下ろしたり、小鳥を見たり、地面にごろごろしたり、各自伸び伸び過ごすのだという。

 

朝のお庭タイム(アポロ、カムイ、クーカイの男子トリオ)
朝のお庭タイム(アポロ、カムイ、クーカイの男子トリオ)

「庭から出ていきそうになると、主人が名を呼ぶ。そうすると自発的に戻ってきます。聞き分けはばっちり(笑)。庭から入ったら私が皆におやつをあげます」

 

 1階を広々と1匹で使うチューチューは庭にでないが、体拭きとブラッシングを秋さんにしてもらうという。それぞれに平等に愛情をかける、夫妻にとって、猫たちは、子どもそのものだ。

 

 敦子さんの“母心”は夜にも炸裂する。

 

「主人は2階で仕事しながら3匹と一緒にいますが、私は1日のほとんどを1階で過ごしてチューチュー以外の子と過ごす時間が少ないから、寝る前に全員と必ず最低15分は触れ合うんです。それぞれのテーマソングを歌いながらマッサージ。クーカイだったら、くっくくるくるぱっぱらっぱ~、みたいに(笑)」

 

 4匹をマッサージすると1時間かかる。「8年前にコンコが、昨年オーチャンが亡くなったのですが、この雌2匹が生きていた時は6匹いたので、寝る前のマッサージに90分かかった。少し短くなりましたね」

 

(かつて秋夫妻が暮らした女子猫たちとの思い出は後編へ)

 

(藤村かおり)

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sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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