猫のために大学中退… 脱サラして、猫の生活用品を開発・販売

「爪とぎベッド」を持つ小林一樹さん=甲府市大津町
「爪とぎベッド」を持つ小林一樹さん=甲府市大津町

■安全な食・製品で猫に長生きを

 猫好きが高じて、猫の生活用品を開発、販売する「猫株式会社」を2015年12月に設立した。元気な愛猫と20年一緒に暮らせるようにと、安心で安全な新製品開発を目指している。


 取り扱い中の爪とぎベッドや寝床、消臭スプレーなどの製品は、社長の小林一樹さん(35)が猫の飼い主としての経験から開発したものだ。例えば「爪とぎベッド」は、防かび剤が使われていない国産段ボールをでんぷんで貼り合わせたもの。部屋に溶け込むようにと、スタイリッシュなデザインに工夫した。猫の寝床「手作り猫つぐら」は、有機栽培米などのワラを長野県の米俵職人が手編みした。「猫好きなら、猫に安全なものを与えたいと考えるのは自然なこと。色々な人から応援してもらっています」

 

開発した「手作り猫つぐら」を持つ小林一樹さん=甲府市大津町
開発した「手作り猫つぐら」を持つ小林一樹さん=甲府市大津町

 山梨県南アルプス市出身。大学時代に友人から猫を預かったことがきっかけで猫好きに。その猫の世話のために大学を中退した。


 猫を飼い始めると、ペットフードなど様々なことが気になり始めた。さらに2007年には、海外フードの原材料に有害な化学物質が混入していたという報道もあった。小林さんは安全なペットフードを探したが、原材料が公開されていないものが多く、「猫にいいご飯をあげたくてもあげられない」と感じたという。


 目指したのは、安全安心にこだわり、原材料の生産者が完全にわかるペットフード。脱サラ後の15年9月、自分で生産業者などを探して県産のシカ肉や有機野菜を使ったフードを提案すると、起業コンテストで2位を受賞。その後、ネットで支援を募る「クラウドファンディング」で資金を集め、開発に着手した。


 ペットフードの試作品は完成し、販売に向けて準備中だ。原材料や生産者はホームページなどで完全公開する。栄養素や味付けの異なるフードを複数作り、猫が食を楽しめる工夫もしている。


 3月末現在、同社の製品は38都府県の140店舗で販売されている。今後は猫じゃらしをはじめ、猫を飼うために必要な生活用品全てを自社でまかないたいという。「ペットは自分で生き方を決められない。一日でも長く元気に生きてもらえる手伝いをしたい」


(黒石直樹)

朝日新聞
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