気になる先住リスに姫的アプローチ 甘えん坊なメス猫「うなぎ」

気持ちは通じている二匹。一緒に何を見ているのかな?
気持ちは通じている二匹。一緒に何を見ているのかな?

「ずっと猫が欲しいと思っていたので、念願がかないました」


 嬉しそうに話すのは、神奈川県内の戸建て住宅で暮らす大学生の深谷真有さん(20)。真有さんの家族は、40代の両親と、8歳のシマリス「縞りすお」。昨年、そこに猫の「うなぎ」が加わって“5人”家族になった。うなぎという名前は、「可愛いので」真有さんが決めたそうだ。

 

(末尾に写真特集があります)

 


 真有さんは猫好きだが、「『りすお』のストレスになるのではないか?」と父親が心配し、ゴーサインが出なかった。ところが、昨年8月、突然、転機が訪れた。


「なんと、反対していた父が猫を連れてきたんです。父の友人から『猫を拾って飼い主を探している』と連絡があって……」


 真有さんの両親も、もともと動物好き。それゆえ、『りすお』のことを心配していたわけだが、友人から送られてきた生後3週間の3匹の子猫の写真を目にして、「なんとかしたい」という思いに突き動かされたようだ。子猫は黒が2匹と、白黒が1匹だった。


 いったん3匹すべてを預かることになったが、猫が来た日は、真有さんとお母さんは地方に帰省中。お父さんが一人で4日ほど、ミルクをあげたり、お尻の世話をしたり、子猫たちのおもりをしたのだという。


「他の2匹と柄が違う印象的な白黒の子を我が家で育てることにしました」


 黒というより灰色で、ぼんやりしていた「うなぎ」の色と模様は、成長とともに濃くなり、顔はくっきりとした“八割れ(はちわれ)”、体は立派なタキシード模様になった。よく動きまわり、柱や壁で爪を研ぐこともあったが、家族に怒られることはなかった。

 

綺麗なハチ割れ模様でしょ
綺麗なハチ割れ模様でしょ

「建物が古いので、どこで爪とぎしても、うちはだーれも気にしません!(笑)。それに『うなぎ』にメロメロ。家族みんな『うなぎ』に話しかける時は声がワントーン上がっています」


『うなぎ』にとっては、のびのび空間。愛情もたっぷり注がれ、お嬢様猫へとまっしぐらだった。気になるのは先住の『りすお』先輩との関係。


「仲は、いいんじゃないかなと思います。家に来てすぐ、まだ手のひらサイズの頃から、“うなぎだよー”と(ケージ越しに)『りすお』に見せていたんです」

 

「元気?」「まあな」ケージ越しにコミュケーションをとる、うなぎとりすお先輩
「元気?」「まあな」ケージ越しにコミュケーションをとる、うなぎとりすお先輩

 その甲斐あってか、『うなぎ』は『りすお』に興味深々。いないなと思うと、『りすお』先輩のケージの横にいたり、顔をそっと近づけたり、時にはケージに肉球を押し当てることもある。


「鳥を狙う時のような猫特有のカカカカッという鳴き声を『りすお』に対しては出さないので、獲物だとは思ってないようです。『りすお』の方は、『うなぎ』に対して『別にって』感じで、無関心かな」

 

日向ぼっこが好きな縞りすお先輩
日向ぼっこが好きな縞りすお先輩

 だが、冬の間、「りすお」はご機嫌斜めで、「うなぎ」が近づくと、ケージにガシャーンと飛びかかることがあったという。そんな「りすお」を「うなぎ」はじっと見ていたという。


「暖かくなるにつれて、『りすお』が穏やかになり、今は『うなぎ』への攻撃的な面はなくなりました。『うなぎ』も受け入れている感じ」


 ちょっと個性の強い「りすお」先輩だが、「うなぎ」はケージ越しにつかず離れず、うまくコミュニケーションを取っているようだ。


「うなぎ」は今、生後約8か月。今は人間にすれば、中学生くらいの“お年頃”だ。性格は、ややビビり。開けた玄関から外を見ている時に、他の猫やお隣の人が通ったり、他の家の窓が開く音がしたりすると、驚いて部屋に入りたがる。初めて見るおもちゃも警戒。来客があると、2階や押し入れに行って戻ってこない。


「でも外(庭)に出るのは大好き(笑)。そして、とっても甘えん坊です」


 朝、目覚ましが鳴ると、「お姉ちゃん、朝よ~」とでもいうように、真有さんの顔を舐める。アラームが鳴るまでは起こしてはダメとわかっているのか、舐めない。鳴っても起きないと、枕元におもちゃを運んで来て、顔の横でぐるぐる喉を鳴らす。じつに可愛い“妹分”だ。

 

気が付くと、りすお先輩の傍にいることが多い
気が付くと、りすお先輩の傍にいることが多い

「小さい時より、今のほうが鳴くようにもなりましたね。私が勉強したりスマホをいじっていると、なでてほしいのかニャーニャー言ってくる。帰宅すると出迎えてくれて、お風呂に行くのにもまとわりつく。水は嫌いなのに、お風呂にも入ってくるんですよ! ドアを閉めて入ると、ニャーニャー訴えて」


 リビングの引き戸は自力で開けることができるのだが、家族がそばにいると、「ニャー(開けて)」と、アピール。「自分で開けられるでしょ?」と真有さんやお母さんが開けてやると、すまし顔で扉の向こうへ歩いて行くそうだ。


 真有さんは最近、屋外が好きな「うなぎ」のために、ハーネスを買った。車などが危ないので、行動範囲は庭だけだが、以前、庭で「りすお」をケージに入れて日向ぼっこをさせていると、「ニャー(出たいよー)」と思い切り主張したという。


「『うなぎ』にハーネスをつけて、外で『りすお』と2匹一緒に写真を撮りたいな」


 春爛漫、深谷家の“次女”「うなぎ」は、愛らしく、たくましく、成長している。

 

(藤村かおり)

 

sippo
sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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