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朝日新聞・朝日新聞デジタル|更新|2017/04/19

犬や猫の殺処分率、なぜ香川は多いの?  犬は6年連続ワーストの「不名誉」

香川県・高松市動物愛護センター(仮称)のイメージ図=香川県生活衛生課提供
香川県・高松市動物愛護センター(仮称)のイメージ図=香川県生活衛生課提供

■香川が全国ワーストって、ホント?不名誉だよね 犬は6年連続、猫も深刻

ちゅるる 少し前に犬や猫の譲渡会をみかけたよ。かわいかったな。でもそこで「香川は全国ワーストなんだ」って聞いたけど、どういうこと?


ぼんさい博士 それは、犬の殺処分率のことだね。殺処分率というのは、県内の保健所に収容され、飼い主やもらい手が見つからずに殺された犬や猫の割合のことなんだ。香川は、犬については2010年度から6年連続で殺処分率が全国ワーストで、15年度は収容数の81・2%にあたる2203匹が殺処分された。猫も89・5%にあたる1766匹が殺処分され、その率は全国15番目だ。

 

ちゅるる
ちゅるる

 そうなんだ。どちらもとても不名誉だよね。どうしてそんなことになっているの?


 県によると、犬は県内で収容される8~9割が野犬なんだ。エサを探しやすい住宅地があって、ねぐらになる山もほどよくある郊外に野犬が多く、温暖な気候のため子犬も生き残りやすい。「子どもを安心して遊ばせられない」と捕獲の依頼が住民から寄せられると、ケージなどで捕獲・収容しているけれど、捕獲ケージの扉を開けたり壊したりして逃がす人や、わざわざドッグフードを買って野犬にあげる人もいて、なかなか野犬が減らないそうだ。

 

ぼんさい博士
ぼんさい博士

 道端で出くわしたことがあるけど、野良犬は怖いな。狂犬病も心配だよね。


 狂犬病は1956年を最後に国内感染はないが、海外では感染リスクが高い国もあり、狂犬病ウイルスがいつ持ち込まれるかはわからない。だから、狂犬病予防法に基づいた対策としても野犬を捕まえることは必要なんだ。県は今年度、専門家を招いて、野犬を含めた香川の問題点を改めて分析する予定だ。


 猫は?


 野良猫への無責任なエサやりや繁殖のしやすさは犬と同じ。犬はそれでも10年前に比べて収容数がほぼ半減したが、猫はほとんど横ばい。その意味ではこちらも深刻だ。人口より猫が多くなった男木島で昨年、約120匹もの猫に一斉に不妊手術をしたのは知っているよね? 県も、飼い主のいない猫に手術をして適切に世話をする地域猫のモデル地区指定を始めたが、まだ軌道に乗ったとは言えない。


 途中で飼えなくなって、保健所にペットを持ち込むようなケースはあるの?


 13年に改正動物愛護法が施行され、保健所はそうした引き取りを拒否できるようになった。いまは一人暮らしのお年寄りが亡くなって身寄りもなく、譲渡先がどうしても見つからない場合など、飼っていた犬や猫を引き取るのはごく一部に限られている。


 そうなんだ。でも、野良犬や野良猫が増えたのだって、もともとはペットを捨てたのが原因の一つでしょ。人間って、無責任すぎるよ!

 

 

■こんどできる動物愛護センターって、役に立つの? 譲渡と啓発、進める施設

鬼なっし
鬼なっし

鬼なっし 捕まえられても新しい飼い主が見つかれば、みんな、殺されないんだよね?


ぼんさい博士 その通りだよ。ただ、いままでは譲渡の取り組みが十分じゃなかった。収容した犬や猫の新たな飼い主を探す譲渡ボランティアの制度を、県と高松市が始めたのは13年度で、これまで39の個人と団体が登録。ボランティア導入前に犬が約100匹、猫が約20匹程度だった年間の譲渡数は、14年度には犬313匹、猫170匹に増えている。


 今度、新しい動物愛護センターができるって聞いたよ。役に立つのかな?


 県と高松市が共同で公渕森林公園に設置運営する「動物愛護センター」のことだね。これは殺処分とは切り離した、譲渡と啓発に特化した施設なんだ。保健所に収容されたなかから新しい飼い主が見つかりそうな犬や猫を移し、健康管理やしつけをしてもらい手とマッチングをする。犬60匹、猫30匹を収容するスペースやドッグラン、猫とふれあう部屋も設ける。約5億8千万円をかけ、18年度の完成予定だ。譲渡の拠点を整えて殺処分数を減らすのはもちろん、「殺すために捕まえているのではない」と野犬の捕獲などへの理解も広めたいそうだ。


 うまくいくといいね。ちなみに四国のほかの県も、香川みたいに殺処分は多いの?


 徳島県も殺処分の多さが課題だったが、野犬のエサやり禁止の呼びかけや譲渡の推進で、犬と猫の殺処分数は10年前からいずれも約8割も減少させたんだ。愛媛県は動物愛護センターでの殺処分の様子を原則公開し、命の重さを伝える珍しい取り組みをしている。ただ、犬の殺処分は大幅に減ったけど、飼い主のいない子猫の持ち込みは依然として多いそうだよ。


 高知県では引き取りの有料化などが成果を出し始めている。殺処分数は10年前に比べ犬は9割、猫だと7割ほど減った。ただ、今も動物愛護センターがなく、収容や譲渡に限界がある。県が高知市と共同で設置する予定のセンターでは、殺処分は行わない方向で検討中という。


 犬はご先祖さまの仇(かたき)だけど、かわいそうすぎるよ。新しい飼い主が見つかるといいね!


 ところで鬼なっし。その服はもしかして……、虎の毛皮では?


 虎柄だけど、毛皮じゃないよ。香川の綿をボクが紡いで作った服だよ!


(構成・多知川節子)

 

 

■四国4県の犬猫殺処分の状況(2015年度)

   殺処分数(匹) 殺処分率(%) 殺処分率ワースト順位

◆香川
<犬> 2203    81.2     1
<猫> 1766    89.5    15

◆徳島
<犬>  652    55.7     8
<猫>  837    76      28

◆愛媛
<犬>  847    62.6     3
<猫> 2738    87.8    17

◆高知
<犬>  103    20.6    28
<猫> 1717    89.8    13