TOP > 第2回 ワンコの下痢は万病のもと?

命の救急箱 ~動物は話せない~

佐藤貴紀・sippo|更新|2015/05/19

第2回 ワンコの下痢は万病のもと?


 日々、診療を行っている中で、毎日のように目にする症状があります。それが、消化器症状である下痢です。
 人間だと、食中毒などの重度の下痢や、食べ合わせがよくないことによる軽度の下痢まで存在します。そして人間は、毎日のように違う食事を食べることが習慣なため、下痢は比較的頻繁に起こる症状であることは、ご存じの通りです。


 では、犬の下痢はどうでしょう。
 毎日、飼い主さんの管理のもと同じフードを与えられていることが多く、単純な消化不良を起こすとは考えにくいわけです。もちろん、おやつなどを頻繁にあげている場合は別ですが……。

 

 そこで、犬の場合の下痢にはどのようなものがあるか、考えてみましょう。
 実は、すぐに考えつくだけでも、さまざまな原因があげられます。環境の変化によるストレス、おやつや食事の変化による消化不良、食べ過ぎ、体に合わないものを食べた時のアレルギー、細菌やウイルスによる感染、腫瘍、体質、膵臓や腸などの炎症――などなど。

 

 2、3日前に何かしらのストレスが過度にかかったことがある場合、また食べ物の影響が考えられる場合などであれば、人間と同様に軽度の下痢で治ります。診察時にそうした原因がすぐに特定できれば、私自身も安心できます。
 しかし、原因が定かでない時に、下痢は重病につながっている可能性があることを忘れてはいけません。ウイルス感染や腫瘍を放っておけば、命にかかわるのです。

 

 人間にとっての下痢のイメージから、「ただの下痢なのに検査までするの?」と、来院した飼い主さんから聞かれることもあります。でも原因が特定できない、しかも話すことができない犬の場合は、細心の注意を払っておかなければ手遅れになるケースも少なくないのです。だから私は、「ただの下痢」でも、原因が特定できない時には積極的に検査することをおすすめしています。

佐藤貴紀

佐藤貴紀(さとう・たかのり)

1978年生まれ。麻布大学卒業後、都内の動物病院に勤務。2008年に独立し、現在は白金高輪動物病院・中央アニマルクリニック総院長。 獣医循環器認定医。


命の救急箱 ~動物は話せない~の記事