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診察室から

山根義久・sippo|更新|2015/05/22

犬の咳はあなどれない マルチ―ズやキャバリアは要注意

倉吉動物医療センター会長の山根義久先生に聞く

    • :最近、うちの犬の咳が止まりません。何かの病気でしょうか?

      :山根 犬種や年齢によって、考えられる病気はかわってきます。もし子犬であれば、まず第一に「ケンネルコフ」の可能性が考えられます。治療は長期に及ぶ場合もありますが、通常は2カ月程度で治るでしょう。
    • :9歳のマルチーズです。
      :山根 その場合、「僧帽弁閉鎖不全症」である可能性が高いですね。マルチーズでは早ければ5、6歳で発症し、キャバリア・キングチャールズ・スパニエルでは4、5歳でほぼ半数が、この病気になると言われています。10歳前後のマルチーズが咳をしているのであれば、この病気を疑ってください。
    • :どんな病気なんでしょうか?
      :山根 心臓にある四つの弁の一つである僧帽弁が閉じなくなるなどして、左心房から左心室に向かって流れるべき血液が逆流してしまう病気です。進行すると、肺水腫となり、呼吸困難が起きます。
    • :ずっと元気だったのですが……。
      :山根 この病気は4段階に分類されています。第1段階では無症状です。第2段階になると、心臓の音を聞けば雑音が混じっているのがわかります。第3段階では深夜、寝ているときにかわいた咳をするようになります。そして第4段階までくると一日中咳をするようになり、時にはえづくような状態になります。
    • :治療法はありますか?
      :山根 基本的に完治しない病気ですが、進行性なので早期発見、早期治療が求められます。マルチーズやキャバリアであれば5、6歳のころから心エコーによる検診を定期的に受け、第1段階の時点で血管拡張剤の投与を始めましょう。僧帽弁の修復や弁移植も選択肢の一つですが、これも第3段階の時点ではやっておきたいところです。
    • :ほかの犬種なら心配ないですか?
      :山根 他犬種でもかかります。特に小型犬に多い病気です。もちろん、単純な風邪の場合もありますし、何か異物を飲み込んだことによる誤嚥性の肺炎の可能性もあります。いずれにせよ、咳が続くようなら、早めに動物病院にかかることをおすすめします。

(朝日新聞 タブロイド「sippo」 No.24(2014年10月)掲載)

山根義久

山根義久(やまね・よしひさ)

1943年生まれ。動物臨床医学研究所理事長、倉吉動物医療センター・米子動物医療センター 会長、東京農工大学名誉教授。医学博士、 獣医学博士。2013年まで日本獣医師会会長を務めた。


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