犬の顔や声は、飼い主や家で変わる

ピンのぬいぐるみと同じポーズをするハンター
ピンのぬいぐるみと同じポーズをするハンター

 昨年8月31日に旅立ったピンを含め、私はまだ3匹しか犬を飼った経験しかなく、しかも犬種はすべてミニチュア・ピンシャーなので、その少ない育犬経験から言わせていただきますと……。

 犬の顔は、飼い主や、飼われる家の環境によって変わっていくものなのだと思います。

 犬の図鑑などで見るミニピンは、もう少しシュッとしているし、険しい顔立ちをしているような気がします。

 でも、我が家のミニピンは、みんなのんきな顔。特に顔が変わったのは、1歳半まで沖縄のブリーダーさんのところにいた〝次女〟のココだと思います。ピン同様、全日空の貨物ターミナルで出会ったときのココは、切れ長の目で、いまよりもっと鋭い表情をしました。

「同じコクモ(ピンのお父さんの名前)の子どもなのに、どうして、こんなに顔が違うんだろう。極小犬と言われている母親犬の顔が鋭いのかしら」と思ったのもつかの間、1カ月もしないうちに、ココはピンと同じのんきな顔になりました。夫にとっては、なってしまいました……だったかもしれません。彼は、もっと精悍なミニピンと暮らしたいと思っていたようですから。

 そんな夫の好みに近いのは、もしかすると保護犬のハンターかもしれません。ピンやココは表情どころか体形も、どんどんミニピン離れしてしまいましたが、ハンターは図鑑に出てくるミニピンに(まだ)近い……(笑)。「絶対、太らせないでよ!」と夫に釘をさされつつ、少しずつ私に慣れてくれて、私の手からトリート(おやつ)を食べてくれるハンター。ついつい、色々な種類のおいしそうなトリートをあげてしまいがちです。

 そんなハンターも顔だけは〝我が家の顔〟=のんき顔になり、キョトンとした表情がどんどんピンに似てきて、私にはかわいくてかわいくてたまりません。

 でも、ハンターには、現在進行形の、もっと大きな変化があるのです。それは〝声〟。

 我が家にやってきたとき、全くと言っていいほど鳴かなかったハンターの〝声〟を初めて聞いたのは1カ月以上たった頃だったでしょうか。

 これが犬の鳴き声なの? というぐらい、か細くて小さな声がハンターの泣き声でした。

 人間にも色々な声の人がいるように、犬にもさまざまな声があるのでは……と思いつつ、あまりにも力がなく、遠慮しているかのようなハンターの声に、また彼の見えない過去について私の妄想が始まる日々でした。

 そんなハンターの声に、力が加わったのは、それからまた2カ月ほどがたった頃だったでしょうか。

 実はココは、ものすごく鳴く子で、ココが来てからというもの、それまでほとんどムダ吠えしなかったピンまでもがつられて(?)鳴くようになってしまいました。どうやらハンターもココにつられたようで、特に宅配便のお兄さんたちにはココと共によく吠えてしまいます。

 そしてハンターの声は、どんどん、フツーの犬っぽい声へと変化していったのです。それもまた、ハンターが徐々に出してきた〝本性〟の一つなのだ。我が家に慣れてくれた証拠なのだと思っています。

 か細く、どこか遠慮がちだったハンターの声は私の耳にはしっかり残っています。人と暮らす全てのわんこたちが、いい表情で、元気な声を出せますようにと祈らずにはいられません。

山田美保子
1957年生まれ。青山学院大学卒業後、ラジオレポーターを経て、放送作家、コラムニストなどを務める。『踊る!さんま御殿!!』の構成や、『サンデージャポン』『ドデスカ!+』などのコメンテーターを務める。ほかに雑誌、新聞、WEBに連載多数。

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この連載について
山田美保子の育犬日記
人気放送作家の山田美保子さんが愛犬たちとの日々をつづるブログ。ペット愛好家セレブの御用達グッズなど、芸能界の話題も。
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