夏バテ 子犬や老犬は特に注意! 下痢や嘔吐はすぐ病院へ

  • :ここ数日、犬に食欲がありません。犬にも夏バテがありますか?
    :山根 犬は汗腺が少ないので、夏の暑さはこたえます。普段に比べて食べる量が減っているのであれば、いわゆる夏バテかもしれません。食欲がなくても、よく水を飲んで元気があるのなら、しばらく様子を観察しましょう。

    ただ、極端に元気がなかったり、下痢や嘔吐(おうと)などほかの症状が見られたりする場合には、なんらかの病気の可能性があります。すぐに動物病院に行き、必要に応じて検査などを受けたほうがいいです。また体力や抵抗力の弱い子犬や老犬であれば、夏バテだからといってあなどらず、なるべく早めに動物病院に行くことをおすすめします。
  • :成犬で、元気もあるので夏バテだと思います。普段からフードについて気を付けるべきことはありますか。
    :山根 犬は肉食の要素が強い雑食です。必要な栄養素の種類とバランスは、人間とほぼ同じと考えて問題ありません。

    ただし、汗腺が少ないということは、汗をあまりかかずナトリウムが体外に排出されにくいということです。このため、塩分の取りすぎには注意が必要です。塩分を与えすぎると、腎不全を発症する可能性が高まったり、心不全の進行を早めたりします。こうしたことから、基本的には「総合栄養食」と呼ばれる一般的なペットフードを与えておくのがいいでしょう。

    そのうえで、成長期の子犬、成犬、高齢犬でそれぞれ必要な栄養量などは変わってきます。また犬種によって運動量が違ったり、かかりやすい病気があったりするので、それぞれの犬に適した取捨選択が求められる場合もあります。毎年のワクチン接種の際などに獣医師に相談してみるといいと思います。
  • :手作りフードはどうですか。
    :山根 犬にとって必要な栄養素をきちんと認識したうえで、愛情表現の一つとして手作りするのは問題ありません。ただ、ずっと続けるとどうしても栄養のバランスが偏ります。基本的に普段はペットフードを与えるようにし、記念日などに手作りしてあげるのがいいと思います。

    ペットフードの食い付きが悪い場合に、なんらかのトッピングを手作りしてあげるのもいいかもしれません。その場合には、肥満につながらないよう、与えるえさのカロリーをきちんと計算することが肝要です。
山根義久
1943年生まれ。動物臨床医学研究所理事長、倉吉動物医療センター・米子動物医療センター 会長、東京農工大学名誉教授。医学博士、 獣医学博士。2013年まで日本獣医師会会長を務めた。

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この連載について
診察室から
動物臨床医学研究所の理事長を務める山根義久獣医師が、ペットの病気に関する質問にわかりやすく答え、解説するコラムです。
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