犬目線で感じて学ぶ トレーナー育成のPRODOGスクール開校

スクールの第一期生のみなさん
スクールの第一期生のみなさん

 犬に関する正しい知識と高い専門性を持ったトレーナーの育成をめざす「ピースワンコPRODOGスクール」が、今月開校した。来年2月までの第一期の受講生は9人。年齢も経歴もさまざまだが、犬や犬のトレーニングについて積極的に学びたいという熱意あふれる人がそろった。


 以前このコラムにも書いたが、スクールの一番の売りは世界水準の教育内容。提携するドイツのプロドッグスクールをはじめ、欧米からも第一線の実務家を招へいし、最先端の知見とノウハウを伝授してもらう。保護施設の仕事を実地で学べるのも特徴だ。受講生の多くは、授業のない週末などにピースワンコの施設でアルバイトをしている。カリキュラムの一部として保護犬の譲渡会にも参加してもらう。


 10月17、18日には、海外特別講師の第一弾として、スウェーデンのドッグトレーニングの専門家2人が講義した。実習の一つは、トレーニングを受ける犬の役を交代で演じるというユニークなもの。トレーナーの声や動作が犬にどんなメッセージを与えているかを、犬目線で体感し考えた。また、いくつかの箱のなかから臭気の発生源を探す「ノーズワーク」のトレーニングでは、犬が正解を見つけたときのほめ方やタイミングを、講師が細かくアドバイスした。

 

スウェーデンの講師によるノーズワークのトレーニング
スウェーデンの講師によるノーズワークのトレーニング

 第一期生のなかで唯一の男性である松田大蔵さんは、目からうろこが落ちる思いがしたという。「犬の本能や性質がどのように行動に結びついているのか、という観点が新鮮だった。人間が決めた基準ではなく、犬の側からものを見るアプローチは、日本ではあまりないのでは」と話す。


 大手企業で医療機器のエンジニアとして働くかたわら、自分の愛犬をテレビCMなどに出演するタレント犬としてトレーニングしてきた。犬に苦痛を与えない、正しいトレーニング法を学びたいと、10年務めた会社を退職して入学した。「講義を受けるだけでなく、アルバイトで保護犬と接するのも勉強になる」と松田さん。


 大森友紀さんは、愛犬のエルフと一緒に東京から移ってきた。「1年前にエルフを飼い始めてから、何がこの子のためになるのか、この子が何を求めているかがわからず、犬のことをもっと知りたくなった」という。


 犬にかかわる仕事を、という夢はあったが、一度別の仕事に就くと、考える余裕がなくなった。受講生募集の記事をネット上で読み、すぐ翌日の説明会に参加。再び夢を追うチャンスだと感じ、5年続けた仕事を思い切って辞めた。今は田舎生活も退屈と思う暇がないほど、学ぶことが多いという。


 お二人のように、それぞれが人生の転機としてスクールの門をたたいてくれた。他では体験できない、充実したプログラムを今後も提供し、期待にこたえたいと思う。

大西健丞
1967年生まれ。NPO法人「ピースウインズ・ジャパン」代表理事。広島県神石高原町にシェルターを設け、捨て犬の保護・譲渡活動に取り組むプロジェクトを運営している。

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この連載について
大西健丞のピースワンコ日記
NPO「ピースウインズ・ジャパン」代表の大西健丞さんが、殺処分ゼロをめざして犬の保護活動に取り組む日々を語ります。
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