三陸の海を再現した巨大な水槽 地域との絆も感じた水族館

ホヤがお出迎え
ホヤがお出迎え

 11月に入りましたね。10月の終わりに出張で仙台に行ってきました。仙台と言えばおいしい食べ物がたくさんありますが、どうしても行きたかったところがあります。そう、それは2015年7月に開業した東北地方最大級の水族館、「仙台うみの杜水族館」です。宮城県にはかつて「マリンピア松島水族館」があり、私が仙台に住んでいたころ、市街地への移転計画の話もありましたが、2015年5月に閉館。ほとんどの生き物をこちらで引き継いで、展示しているとのこと。

 水族館最寄りの駅はJR仙石線の中野栄駅か地下鉄東西線荒井駅。中野栄駅からは30分に1本、無料シャトルバスが出ています。最終のバスにぎりぎり間に合いました。かわいらしいバスに揺られ、10分程度で水族館に到着です。

 外観を見てびっくり。白を基調としたおしゃれな建物!期待が高まります。入ってすぐに現れたのは巨大なリング状のスクリーン。漁や出航の様子など、臨場感あふれる映像が巨大なスクリーンに映し出されます。入ってすぐに生き物の展示ではなく映像から始まる。まさにストーリーの始まりを感じさせる演出でした。ここを抜けると「日本のうみ-東北のうみ-」ゾーンが始まります。出迎えてくれたのは“ホヤ”。ロープにびっしりと付いたホヤとその間を泳ぐ魚を下から見上げます。水面のキラキラがとてもきれいでした。

 そのあとに現れたのは三陸の海を再現した巨大な水槽。平日の夕方、そしてイルカ・アシカのパフォーマンスの時間ということもあり、他に誰もいません。巨大な水槽を独り占め。あまりの美しさに本当に海にいるような気分が味わえました。

三陸の海を再現した大水槽
三陸の海を再現した大水槽

 水族館では、その地域の海や川とそれに関連した人々の暮らしといった、その地域独自の展示を楽しみにしています。この水族館では、養殖業が盛んな内湾の海としてカキの展示や、漁業が盛んな地域らしい競りの声が聞こえてくる市場と水揚げ風景の展示、海女さんの漁の道具の展示がありました。また、「お絵かきアマモリウム」といって、自分が描いた魚が大きなスクリーンで泳ぎまわるという体験スペースもあります。小さい子供がいたのでさすがにできませんでしたが、やってみたかったです……。

 日本の海のあと、仙台市内を流れる広瀬川の環境を表現した外の展示を抜けると世界の海につながります。そして、日本の海と世界の海のあとにあるのは「コミュニケーションウォール」。来館者がふせん(有料)にメッセージを書き、はりつけることができます。これは、「お客さま同士、そしてお客さまと水族館をつなぐ場所としての“メッセージ掲示板”」だそうです(公式ウェブサイトより)。巨大なスクリーンで始まったストーリーも、いよいよおしまいですが、このコミュニケーションウォールの存在が、キレイなエンディングを迎えさせてくれます。

水族館と来館者をつなぐコミュニケーションウォール
水族館と来館者をつなぐコミュニケーションウォール

 訪れた日はハロウィン直前ということもあり、入り口や展示スペースなど、館内のいたるところにハロウィンを感じる工夫がされていました。また、「透明な生き物展」と称した、スジエビやトランスルーセントグラスキャットフィッシュといった、体が透けた生き物が展示されていました。

 さて、この水族館、一言で表すなら“オシャレな水族館”。まるでどこかの美術館に来たような気分になりました。また、コミュニケーションウォールの存在や地元三陸の海を再現した展示、マリンピア松島水族館の生き物を引き継いだ展示、漁業を中心とした地域産業との関係性など、“絆”や“つながり”を感じることのできる水族館でした。

 帰りはバスがありませんので、中野栄駅まで歩きました。途中、三井アウトレットパーク仙台港の近くを通りました。この水族館が開業してから周辺施設にも影響があったそうです。地域の活性化、まさに地域とのつながりですね。

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