子犬のトイレのしつけ、「失敗」しない環境を作るのが大切

犬は自分の寝る場所や食べる場所では排泄しないもの
犬は自分の寝る場所や食べる場所では排泄しないもの

 さて戌年が始まりました! 子犬を飼い始めた人も多いと思うので、子犬期にしていただきたい教育について書いてみたいと思います。


 犬と生活するうえで排泄のコントロールはとても重要です。まずは子犬期にしっかりと犬用のトイレで排泄するよう習慣づけておくことが大切です。子犬期のトイレのしつけは飼い主にとって悩みの種になりますが、基本をきちんと押さえておけば1~2週間でほぼ失敗なくできるようになります。


 トイレのしつけで大切なポイントは以下の3つです。


 ① 失敗しない環境を作る
 ② 排泄する時間帯や排泄前のしぐさをよく観察する
 ③ 排泄しそうなタイミングでトイレに誘導し、成功したらすぐにご褒美


 今回はこのうち、失敗しない環境を作る上で知っていただきたいことを書きます。

 

 

◆成功しやすい場所にトイレを置く

 まず犬用トイレを置く場所を決めましょう。子犬の生活の中心となる場所で、飼い主さんが子犬を観察しやすい場所、たとえばリビングなどに置くと良いでしょう。また子犬がすぐにアプローチできるわかりやすい場所、しかも落ち着ける場所であることも大切です。一般的には食べる場所寝る場所から離れた場所、部屋の隅、ドアや窓の近くなどを好む場合が多いようです。


 排泄場所の好みは犬によっても違うため、もし子犬が失敗する場所がトイレのある場所と全く違う場合にする場合は、失敗を繰り返させないためにもそこにトイレを置いてみると良いでしょう。


 家に来たばかりであれば、子犬のブリーダーさんに、子犬がどのような場所で排泄していたかを聞き、これまで使っていたものと同じタイプのトイレの容器や素材(ペットシーツなど)を用意すると良いでしょう。また排泄物の匂いのついたペットシーツを少しもらってきて新しいトイレに匂いをつけておくと子犬の理解を助けます。


 犬は本来、自分の寝る場所、食べる場所では排泄したがらないものです。狭いサークルの中に食器もベットもトイレもあるような状態で長時間過ごさせているようなケースでは、サークルに閉じ込められている時には我慢できず仕方なくそこで排泄します。それをトイレのしつけができたと勘違いすることが多いのですが、成長とともに排泄を我慢できるようになると、サークルではしなくなります。そしてサークルから出したとたんトイレ以外の場所で排泄するようになるケースはとても多いです。これは犬のせいではなく、トイレの場所が悪いのです。人も寝室やダイニングにトイレを置いたりしないはずです。


 逆にサークルで長時間留守番させていると排泄する場所と寝たり食べたりする場所を区別できなくなり、トイレで寝たり、自分の排泄物を平気で踏んでしまったりするようになってしまう場合もあります。


 したがってトイレとしてのサークルと、眠る場所であるクレートと、食事をする場所はそれぞれ別にあった方が犬は理解しやすいのです。この場合、クレートとして使うケージは屋根付きのもので犬が入って横になれる程度の小さいものが適しています。狭く囲まれた屋根のある場所では犬は排泄を我慢する習性がありますので、排泄をさせない場所として使います。このクレートの中には気持ちよく眠れるように季節に合った敷物を敷き、安心して眠る場所として教えておくとトイレのしつけだけでなく、自動車での移動やペットホテル、飼い主さんとの旅行にも役立ちます。

 

トイレとしてサークルを利用。子犬がはみ出さない利点が
トイレとしてサークルを利用。子犬がはみ出さない利点が

◆犬のトイレには広めのスペースが必要

 これとは別に、トイレとして用いるのは屋根がなく広めのサークルが良いでしょう。犬は本能的に開放的な空間で排泄することを好みますし、排泄前には必ず匂いを嗅いでうろうろしたりくるくる回るため、広めのスペースが必要なのです。


 トイレサークルの中にはペットシーツを敷き詰めておきます。トイレとしてサークルを利用する利点として、周囲が囲まれていることによって子犬がトイレからはみ出したり、ちょっと目を離した瞬間にトイレ以外の場所で排泄してしまうことを防げます。ただし、すぐに排泄しないからと言って子犬を長い間トイレサークルに入れたままにしておくと子犬は退屈してペットシーツをボロボロにしたり、トイレサークルに入れられることを嫌がるようになります。そうなると自分からトイレに入らなくなったり、入れると出たがって排泄どころではなくなってしまいます。排泄しなくても子犬が嫌がる前に出しましょう。


 現在、サークルにベッド、食器、トイレなどを入れて使っている場合、長時間サークルに閉じ込めることは良いことではありませんが、どうしてもサークルから出しておくのが不安な場合は、もう一つトイレ専用のサークルを置き、ふだん寝ているサークルから出したら、まずトイレサークルに入れて排泄させ、ご褒美を与えてから自由にしてあげると良いでしょう。

 

★★村田香織さんの著書
「こころのワクチン-子犬に教える人としあわせに暮らす方法」

http://www.inclover-world.jp/kokoro.html
「第7章・トイレのしつけ」をご参照下さい

村田香織
獣医師、もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「こいぬこねこの教育アドバイザー養成講座」メイン講師でもある。「パピークラス」や「こねこ塾」などを主催、獣医学と動物行動学に基づいて人とペットが幸せに暮らすための知識を広めている。

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この連載について
ペットのこころクリニック
犬や猫の問題行動に詳しい獣医師の村田香織先生が、ペットと幸せに暮すためのしつけや飼い方のコツをていねいに解説します。
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