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Shi-Ba・Shi-Ba|更新|2016/07/01

犬の記憶力 最新 調査報告④ 実は長く覚えられることも 記憶できる長さってどのくらい?

人と同じように覚えて思い出しているの?

犬ってどれくらい記憶力があるの?過去を思い出すことはあるの? 音も記憶できるの? など、犬の記憶については謎が多い。動物や犬の記憶に関する画期的な実験を成功させてきた、京都大学心理学研究室の藤田和生教授に、犬の記憶について伺ってみよう。
監修:藤田和生教授



 犬はすぐ忘れたり、ずっと覚えていたりばらつきがある気が。何故そんなことが起こるのだろう? そして、どのくらいの時間記憶できるのだろうか?


繰り返させると覚えさせたいことが長期記憶になる
記憶を忘れさせることも可能 長く覚えさせる方法とは?

 記憶には長く覚えているものと、すぐ忘れるものがある。前者が短期記憶、後者が長期記憶と呼ばれている。短期記憶は30秒~120秒で忘れる記憶。この記憶を司っているのは前述した海馬という部分。長期記憶とは、短い物だと10~30分、長い物だと何十年も覚えている記憶。この記憶の長さの違いは何故起こるのだろうか? その理由の一つに、海馬に一度記憶を取り込み、何回もその情報を唱えることで、長期記憶に転送されるというものがある。受験勉強で、何度も繰り返し書いたり呟いたりすることを勧められる理由は、これ。他にも、怖い、楽しいなどの強い感情が関わった時、長期記憶になると言われている。

 ということは嫌な経験も、長く覚えやすい? 例えば掃除機の音に驚き、それ以降掃除機を見ただけでも震えるようになる、など。嫌な経験を、長期記憶にしない方法はあるのだろうか。

「記憶を忘れさせる、あるいは薄くすることは可能です。嫌な記憶の、弱い刺激を提示するんです。例えば、掃除機へ嫌な記憶がありおびえる場合は音を録音して、まずは小さい音で慣らす。それで平気だったらオヤツなどのごほうびをあげます。そして、徐々に音をあげてゆく。そうすることで、怖い記憶が薄れてゆくんです。これを系統的脱感作といいます」

 もちろん、他の記憶もこれで薄くさせることができる。爪切りが苦手な犬の場合、まずは爪切りを見せたり、軽く爪に当てて、平気だったらオヤツなどのごほうびを与えることから。


短期記憶は結構すぐ忘れる
最短30秒!? 120秒くらい保つことも

 短期記憶が作られるのは海馬。人間の場合でも、7項目くらいしか同時に覚えられない小さな領域と言われている。例えば電話番号も、7桁以上は覚えにくい。ここで作られた記憶は長期記憶にならない限り、犬の場合は30秒、長くても120秒くらいしか保たない。なんとも、儚い記憶である。維持したい記憶は、繰り返して唱える、あるいは行うことが大切。その方法として、以下で紹介するオペラント条件付けは有効だ。



長期記憶は10年くらい保つことも
最長10年!? 子犬時代の記憶は残っているかも?

 自分に関連することや、生に直結することは、覚えやすい。恐怖だったり、特別嬉しいなどの感情が付随するもの。また、何度も繰り返し、経験したものは長期記憶になりやすい。長期記憶になると、30分から、長いもので10年以上は記憶されると言われている。子犬時代に会った人をずっと覚えていたり、散歩中に数年ぶりに動物病院に行こうとして、近づいたら怖がり始めたり。なにげに、いろいろなことを長く覚えていることが多い。

長期記憶にするためには……
オペラント条件付けで、好ましい行動を繰り返させる

 オスワリなどのコマンドや、好ましい行動は、長く覚えていてほしいものだ。前述したとおり、長期記憶にしたいものは、何度も繰り返すと、長く覚えている可能性が高まってゆく。その際、オペラント条件付けという方法を利用することをオススメする。これは覚えさせたい好ましい行動をとった直後に、ごほうびをあげることを繰り返し、犬が自発的にその行動をとれるようにする方法だ。散歩中にアイコンタクトを試み、成功したらオヤツをあげるなど。ごほうびは、その犬が好きなものや、喜ぶことなら撫でたり遊んであげたり、なんでもよい。それを繰り返すことで、その行動がよいことだということが、長期記憶になる確率が高まってゆく。おまけに、この方法であれば、ごほうびをもらった時に「嬉しい!」という感情も加わるので、さらに長期記憶になりやすいはずだ。ただ、ごほうびをオヤツにする場合は、注意が必要。例えば、オテを記憶させたい時、オヤツを見せずに、オテという号令だけでオテをさせる挑戦をしよう。そして、成功したら、オヤツを。号令の前にオヤツを見せると、オヤツを見ないと従わなくなってしまうことがある。


監修:藤田和生教授

京都大学文学部心理学研究室教授。多様な動物の認知、知性、感情の働きを分析し、相互に比較することを通して、心の進化を明らかにすることを目指している。主な著書に『誤解だらけのイヌの気持ち』など。

★実験参加犬募集★

 藤田教授はCAMP-WANというプロジェクトを主宰している。人と犬の関係をさらに深いものにするために、犬の行動や知性について調査している。CAMPWANでは調査に協力してくれる日本犬を募集している。

https://sites.google.com/site/kyotocampwan2/home

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Shi-Ba(シーバ)

柴犬をメインとした日本犬専門マガジン(柴犬・秋田・紀州・北海道・四国・甲斐犬)。既存の「日本犬=番犬」という硬直したイメージにとらわれることなく、今の時代に合った新しいカタチの飼い方やライフスタイルを、数多くの実例取材をもとにしたオモシロ企画で提案。また日本の民族文化や伝統工芸などを柴犬が紹介していくコーナーなど、そのイケイケの編集方針が生み出す独特な世界は、「ペット雑誌」という言葉だけではもはやくくりきれない?
公式Facebook:http://www.facebook.com/ShiBa2929


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