猫を連れて、評判の良い動物病院へ 画期的な治療を求めて

幸せそうに眠るモモ
幸せそうに眠るモモ

 前回からの続きです。我が家のサバトラ猫・モモが皮膚病(アレルギー?)になり、近所の病院での治療には限界を感じて、転院してみることにしました。


 転院先は、ネットで調べた評判の良い動物病院。車で20分ほどの場所にありました。


 モモにはペット用のキャリーバッグに入ってもらい、夫の運転で病院に向かいました。


 私は助手席でモモが入ったバッグを抱えていたのですが、普段はほとんど鳴かないモモが、道中ずっと鳴いていました。


「ンナ~! ンナァァ~!!」


 それはそれは悲しげな声で……。まるで、“ドナドナ”的にこれから売られてゆくかのような絶望感が漂います。こっちは売るどころか、病気を治したいだけなんだけども。飼い主の心、飼い猫知らずです。


 今まで徒歩5分の病院にモモを連れて行っていたときは、家を出たときに「ナ~ナ~」と、ふた鳴きすれば、あとは静かにしていました。


 車が嫌なのか、ただならぬ雰囲気を察して不安なのかわからないけど、モモに精神的な負担がかかっているのは明らかでした。


「ごめんね~、もうちょっとだよ」


 バッグの網目からモモに声をかけても、鳴き叫び続けるばかりでした。


 渋滞につかまり、30分かかってようやく病院に着くと、予約した時間ぎりぎりになっていました。待合室は狭めで、5組ほどで満席状態。犬や猫や飼い主家族が静かに診察を待っていました。


 さっきまで鳴きまくっていたモモも、すっかり静かになっていました。車を降りて落ち着いたのか、緊張して声も出ないのか……。


 院長先生と若い先生の2人が診察しているようで、思っていたより待たずに診察室に通されました。


「皮膚病、ですか。どの辺ですか?」


 おしゃれメガネの若い男性の先生に、モモの足の付け根の皮膚病を見せました。


「このあたりです。ステロイドの注射で抑えると一旦良くなるんですが、それしかないんでしょうか」


 評判の良い病院、というネット情報だけで、何か画期的な方法があると思ってここまで来ていました。


 でも結局は、その評判の良い病院の話も、近所の病院で聞いた話と全く同じでした。


 即効性があり、簡単なのはステロイド注射。でも、ステロイド注射はリスクがあるので、ステロイドをやめるのであれば、毎日家で免疫抑制剤を飲ませる。また、食物アレルギーが皮膚病の原因になっている疑いがあるなら、すべてのフードをアレルギー性のある食材を除去したものに切り替える、というものでした。


 動物は自由診療だから、病院によって治療の違いがあると思ってほかの病院に来てみましたが、それほど画期的な治療法はないものなんだと悟りました。ほかの病気で、違いがある場合もあるかもしれないけど。これからは近所の動物病院のことも信用しつつ、治療について考えていこうと思いました。


 評判の良い動物病院で、いつものステロイド注射を打ち、車で帰る道中も「ンナ~!ンナァァ~!!」と鳴いているモモ。やっぱり、車が嫌なのかな……。


 こんなに不安な思いをさせてまで連れてきて、モモに悪かったな……。病院を変えるより、モモとじっくり向き合って、自分なりにも調べてみて、モモに一番の負担のかからない方法を考えようと思った出来事でした。


(ヤスダユキ)

sippo
sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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この連載について
猫アレルギーですけど
普通の家で飼われている猫「あんず」と「モモ」。飼い主の主婦が、2匹との生活や発見をユニークな視点で切り取る人気連載です。
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