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Shi-Ba・Shi-Ba|更新|2017/03/14

古民家食堂の柴犬2匹 湖のパトロールが日課、野生動物よけの番犬にも

日光の五十里湖畔にひっそり佇む小さな古民家。そこに、看板犬と番犬の2足のわらじで人気を集めている柴犬カップルがいるという。五十里湖警備隊としても活躍中の彼らを密着レポート!
Text:Risa Shiraishi
Photos:Minako Okuyama

 

(末尾に写真特集があります)

 


突如いかり娘の耳を舐め始めたダム。ダムの愛情表現を拒否せず、おとなしく身を委ねていたいかり娘が印象的だった。
突如いかり娘の耳を舐め始めたダム。ダムの愛情表現を拒否せず、おとなしく身を委ねていたいかり娘が印象的だった。

おっとり男子とおてんば娘

 日光市の五十里ダムの近くに、江戸時代から続く古民家を移築した「古民家食堂六代目へいじ」がある。この食堂の柴犬が観光客から大人気らしい。その噂の真相を確かめるべく、取材陣は現地へと向かった。

 お店に到着すると、店先で2匹の柴犬が愛想よく迎えてくれた。彼らの名はダム(オス・4歳)といかり娘(メス・4歳)。この地を代表する、五十里ダムから名づけられた。ただ、「ダム」も「いかり」も男っぽい名前だったので、メス犬のほうには娘をつけて「いかり娘」にしたのだとか。

 店主の三上政志さんがこの地にやって来たのは、2011年の東日本大震災がきっかけ。仙台で被災した三上さんは、震災を機に生き方を変えたいと思い、栃木に移住する決意をした。食堂を始めようと古民家を借りたが、12年間空き家だった古民家をお店にするのは、かなり大変だったという。

「庭に野生の鹿や猿が来たり、虫が多くて、このままじゃどうしようもないので、番犬として犬を飼おうと思いました」

 この時はまだ柴犬を飼おうと決めていたわけではなかったが、ペットショップでたまたま2匹の柴犬と目が合い、2匹とも飼うことを決めたそう。ダムといかり娘はペットショップにいた頃からずっと一緒だったため、非常に仲がよい。3年前には2匹の間に4匹の子犬が誕生。子犬たちは近所に里子に出したため、頻繁に顔を見せにやって来るという。

「ダムといかり娘は大切な家族、我が子同然ですね。子犬たちも孫だと思っています」と笑う三上さん。

 ちなみに、ダムといかり娘はどのような性格なのだろうか。

「ダムはおっとりしていて、いかり娘は非常に活発。2匹がケンカをすると、いつもダムが逃げ回っていて、いかり娘が必ず勝つんです。子犬の頃は、ダムよりいかり娘のほうが体が大きかったので、その時点で優劣が決まったんでしょうね」

 今ではダムのほうが大きいが、いかり娘に頭が上がらないのは変わらぬまま。散歩の時もダムはいかり娘より先を歩かぬよう気をつけている。

ダム&いかり娘は日中屋外で過ごし、夜になると土間で休んでいる。
ダム&いかり娘は日中屋外で過ごし、夜になると土間で休んでいる。

一緒にパトロールするプランも

 古民家食堂六代目へいじでは、1日1組限定で古民家一棟を貸し切って宿泊することができる。宿泊プランで人気なのが、ダムといかり娘と一緒に、五十里湖畔をパトロールするプランだ。

「もともとダムといかり娘に『五十里警備隊』と名付けて、五十里湖の周りをパトロールしていたんです。宿のプランを考えていた時、警備隊と一緒にパトロールする企画は面白いんじゃないかと思って、試しにこのプランを始めたところ、予想以上に人気が出て驚いています。特に子供連れのご家族が喜んでくれますね」

 五十里警備隊はダムが隊長、いかり娘が主任という役職を担っている。パトロールの際は、犬たちの点呼を取り「ただいまから、警備隊出発します!」と、出発のセレモニーを行うそう。

 パトロールでは宿泊客が警備犬のリードを持つこともでき、往復約2キロの距離を歩く。五十里湖の周辺は、冬は雪景色、春は山菜、夏は緑の木々、秋は紅葉と四季折々の景色を楽しめる。

「この辺りは地域の中でも除雪車が最後に回ってくるため、冬の朝は一面真っ白な銀世界です。雪の中を犬たちと進むのは、ここでしか味わえないと思います。自分たちの足跡以外何もない世界は、とても幻想的ですよ」

 三上さんはパトロール中に五十里の史跡を案内したり、季節の花の解説も行っているそう。警備犬と散策しながら、この土地の歴史や自然と触れ合えるのも人気の秘密といえよう。

五十里湖を見渡せる絶景スポットへ。五十里湖は1周約4キロの広大な湖。静かな湖畔を歩くのは気持ちがいい。
五十里湖を見渡せる絶景スポットへ。五十里湖は1周約4キロの広大な湖。静かな湖畔を歩くのは気持ちがいい。

お客さんが大好き

 生後4ヶ月で三上家の一員となったダム&いかり娘は、すぐさま古民家食堂の看板犬として大人気に。子犬時代からいろいろな人と触れ合ってきたおかげで、2匹とも人が大好きだ。

「ダムといかり娘はお客さんが来てもほとんど吠えず、近寄っていったり、頭を擦りつけたり、とにかくフレンドリーです。だから、あまり柴犬っぽくないと言われますね」

 このように、お客さんに対してはフレンドリーだが、店の前を素通りする人に対しては吠えることがあるという。お客さんと、そうでない人の区別がつくようだ。また、野生動物に対しては、狩猟犬としての本能が表れる。

「猿や鹿を見つけると、吠えたり挑みかかっていきますね。以前は家の前に野生動物が来ていたのですが、犬を飼ってからは全く来なくなりました」

 ダムといかり娘は看板犬としての優しさと、野生動物を追い払う番犬としての気質を併せ持っているのだ。

 そんな2匹が出迎えてくれる食堂では、各地の郷土料理を堪能できるのが自慢。三上さんは仙台にいた頃、旅行会社に勤めていて、各地の郷土料理を食べ歩いてきた。本場の味を知り尽くしているからこそ、メニューには繊細で味わい豊かな郷土料理が並ぶ。300年以上続く古民家でこれらの料理を味わえるのも趣深い。

 犬好きはもちろん、食通や歴史好きにも大満足間違いなしの古民家食堂六代目へいじ。日光へ行く際にはぜひ足を運んでみてはいかが。

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出典:Shi-Ba
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Shi-Ba(シーバ)

柴犬をメインとした日本犬専門マガジン(柴犬・秋田・紀州・北海道・四国・甲斐犬)。既存の「日本犬=番犬」という硬直したイメージにとらわれることなく、今の時代に合った新しいカタチの飼い方やライフスタイルを、数多くの実例取材をもとにしたオモシロ企画で提案。また日本の民族文化や伝統工芸などを柴犬が紹介していくコーナーなど、そのイケイケの編集方針が生み出す独特な世界は、「ペット雑誌」という言葉だけではもはやくくりきれない?
公式Facebook:http://www.facebook.com/ShiBa2929


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