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sippo・sippo|更新|2016/02/22

札幌市の「8週齢規制」条例案を応援 国会議員、有識者ら140人が集会

衆議院第2議員会館で2月19日に開かれた「札幌市動愛条例の『幼い犬猫守る条項』を応援する緊急院内集会」
衆議院第2議員会館で2月19日に開かれた「札幌市動愛条例の『幼い犬猫守る条項』を応援する緊急院内集会」

 札幌市が全国で初めて、生後8週間までは親と子を一緒に飼育することをすべての飼い主の努力義務とする条例の制定を目指していることを受けて、2月19日、衆議院第2議員会館で「札幌市動愛条例の『幼い犬猫守る条項』を応援する緊急院内集会」が開かれた。集会には獣医師などの有識者や国会議員、動物愛護団体の代表ら約140人が参加。「8週齢規制」の意義やその早期実施の必要性などを訴えた。

 

 集会ではまず、女優の浅田美代子さんが「子犬たちを親と一緒に最低でも8週齢までは過ごさせてあげないと、問題行動を起こす犬が増える。札幌市のこの条例が東京、神奈川など各地へと広がっていってくれたらと思います」と話した。続けて前日本獣医師会会長の山根義久・動物臨床医学研究所理事長が自身の経験や人間の脳重量の発達状況などを踏まえながら「56日(齢規制)は当たり前のことなのに、日本では『緩和措置』があってまだそうなっておらず、驚いている。欧米では、四十数日で離すと犬や猫にとって良くないから、56日にしている。日本のように、四十数日で離す良さはいったいどこにあるというんでしょうか? 早急に札幌市の条例を立ち上げていだき、それが日本全国津々浦々に広がってほしい」と述べた。

 

 子犬や子猫の心身の健康を守るため、米、英、フランス、ドイツなど欧米先進国の多くでは、8週齢(生後56~62日)まで、子犬や子猫(国によっては子犬のみ)を生まれた環境から引き離すことなどを禁じる「8週齢規制」が一般的になっている。だが日本では、2012年に動物愛護法が改正される際、動物取扱業者らが作る業界団体や一部国会議員がこの規制の導入に強く反対した。そのため動物愛護法の本則には、「出生後56日を経過しないものについて、販売のため又(また)は販売の用に供するために引渡し又は展示をしてはならない」とされているにもかかわらず、いつ実現するかわからない「緩和措置」が付則でつけられ、「56日」が「45日」(16年9月からは「49日」)と読み替えられている。

 

 そんななかで、札幌市が新たに制定を目指す動物愛護管理条例案では、第7条第1項第4号で、すべての犬猫の飼い主に対して「生後8週間は親子を共に飼養してから譲渡するよう努めること」という努力義務を定めようとしている。努力義務とはいえ日本で初めて「8週齢規制」が実現するのだ。

 

「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」に所属する国会議員からは、札幌市の条例制定の動きを受けて、動物愛護法において8週(56日)齢規制を早期に実施すべきだという発言が相次いだ。

 

 松野頼久・衆院議員(維新の党)は「2012年に動物愛護法を改正する際、本文に8週齢規制を入れるよう強く主張した。先進諸外国が『8』という数字を入れているのだから、国による決めの問題として入れるようにしようと。しかしたいへん抵抗が強く、5年間で段階的に『8』に持っていきましょうということになった。5年後には『8』にするための段階的な激変緩和だった。でもいま、環境省が全くやる気が無い。せっかく入れた『8』という数字をやろうとしていない。今国会でもこの問題について、しつこくやりたい。全国の自治体は、札幌市のように頑張ってほしい」。

 

 また福島瑞穂・参院議員(社民党)も「法律に8週(56日)齢とあるのだから、それを実現すべきなんです。ところが、『調査研究をする』というのが環境省の答弁で、『8週齢をやる』とは言わないんです。札幌がこの条例を成立させて、8週齢のほうがいいんだという実績がどんどん出てきてほしい。なんとしても成立できるよう議連としても応援したい。そして国会でも、『緩和措置』が取れて、8週齢規制がきちっと実現できるよう、超党派で力をあわせてやっていきたい」。

 

 続けて獣医師や法律の専門家から、8週齢規制を早期に実現すべきだという根拠や、今回の札幌市の条例案に関する見解などについて発言があった。

 

 太田光明・東京農業大学農学部教授は「脳のなかには重要な神経物質(ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン)があるが、例えば、ドーパミン神経の発達に最も重要な時期が社会化期。犬にドーパミンがでないと、飼い主においてオキシトシン濃度の上昇は起こりません。犬のドーパミン神経の完成は、犬種によって異なるが、少なくとも8週齢までかかります。(1951年に8週齢規制を作った)イギリスの人たちはそのことを経験的に知っています。一方で日本では、07年の調査では8割もの犬の飼い主が、犬の問題行動に苦労している。これを解消するためには8週齢規制は必要不可欠です」と発言。獣医学の立場から、8週齢規制の重要性を訴えた。

 

 また大屋雄裕・慶応義塾大学法学部教授(法哲学)は法律と条例の関係についてふまえつつ、「動物愛護法の付則第7条第3項を善意に解釈すれば、『状況が整えば56日にする』と書いてある。そのなかで、札幌市では整いました、また別の市や県でも整いましたと続々と出てくるのであれば、国の側としても、『全国的に整いつつありますね。では56日です』という議論が展開しやすくなる」と述べた。

 

 札幌市の動物愛護管理条例案は2月17日から始まった同市議会に提案された。可決、成立すれば、今年10月に施行される。

 


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