ペットの忌引が取れる日本ヒルズ・コルゲート社 弔電・弔慰金も

よしたにのへえぇ 日本ヒルズ・コルゲート =(c)よしたに
よしたにのへえぇ 日本ヒルズ・コルゲート =(c)よしたに

 身内に不幸があった時に取る忌引休暇。この制度がペットにも使えたら……という期待に応えて、日本ヒルズ・コルゲート(東京都千代田区)は2005年11月、就業規則に「扶養ペット慶弔規程」を定めた。

 

 犬か猫を飼い始めた社員は、「扶養ペット」を任意で会社に届け出る。その際、1匹につき祝い金1万円と自社製のフード3~4キロ分が贈られる。亡くなった時は、社長名の弔電とともに弔慰金1万円が支給され、おじ、おばを亡くした場合と同等の、忌引休暇1日が認められる仕組みだ。犬猫以外のペットの場合は適用されず、有給休暇で対応するという。

 05年の開始以来、計29匹が忌引休暇取得の対象となった。会社は扶養ペットたちの種別、性別、名前、登録日と写真をファイルで管理している。ポーズや角度など、撮影した飼い主の工夫の跡がうかがえる、愛くるしい「勝負写真」ばかりだ。
 

 社員で獣医師の宮崎愛さん(41)は14年3月25日、20歳まで生きると信じていた愛猫を亡くした。チンチラの女の子、ビッチちゃん、享年13歳。夜に自宅で看(み)取り、翌朝、上司に電話で1日の忌引休暇を申請した。子ども2人と、「あなたたちのお父さんと結婚する前から、私の『娘』だったの」と、その生涯を振り返り、庭に埋葬した。
 

 制度を考案したのは、当時の社長で、現在は一般社団法人「人とペットの幸せ創造協会」会長の越村義雄さん(68)。「ペットは、触れ合いによる癒やし、散歩の習慣化、子どもへの情操教育など、働く人と家族の心身に数々の好影響をもたらす。企業や社会にも必ずプラス効果がある」と話す。越村さんは、庭で飼った昔とは違い、今は多くの人が屋内で食事を与え一緒に眠るなど距離も縮まったと見る。「家族の一員、人生のパートナーとして尊重する価値観は今後も浸透していくはず」。ペット対象の慶弔規程はこんな考えに基づいている。

 

(寺下真理加)

 

 日本ヒルズ・コルゲートは1977年、日本法人設立(88年に現社名に)。米国の獣医師らが開発、推奨するドッグフード、キャットフードを販売。従業員124人。売上高は非公開。
■社員のつぶやき 人事本部長・安岡幸徳さん(50)
上司や同僚に「お互い様」「こっちは大丈夫。ゆっくりして」と言われて、引け目を感じずペット忌引休暇を取得できたという社員の声も聞きます。ペットの様子を気づかい合うことが、コミュニケーションの活性化にもつながっている印象です。

 

朝日新聞
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