柴犬が列車事故 市役所は休日で、治療・飼い主発見に遅れ

動物病院で切断した左側の前後の脚の手術を終えたシバイヌ=群馬県高崎市内の動物病院、関係者提供
動物病院で切断した左側の前後の脚の手術を終えたシバイヌ=群馬県高崎市内の動物病院、関係者提供

 飼い主のもとから行方不明となったシバイヌが今月9日、前橋市内の上毛電鉄の線路脇で左の前後の脚を切断した状態で見つかった。列車にひかれたとみられる。犬は警察署で保護され、その後、動物病院で手術を受け、命を取りとめた。ただ、警察は市役所に連絡したものの、休日の当直態勢で保健所へは話が伝わらず、署が飼い主を特定して引き渡せたのは発見から2日後だった。
 

 前橋東署と動物愛護のNPO「群馬わんにゃんネットワーク」によると、この犬は9日に行方が分からなくなり、飼い主が別の警察署に届けを出した。
 

 その日午後、上毛電鉄の線路脇でけがをした犬を見つけた男性が110番通報し、前橋東署員が保護した。署は動物保護を担当する前橋市に連絡したが、土曜日で、市によると、当直が「週明けの対応になる」と答えた。負傷動物の治療などは前橋市の対応になるとして、署員が署内で定期的に犬の様子を見たり水を与えたりしたという。署は月曜の11日、市保健所に連絡し、首輪の鑑札などから飼い主を特定したという。
 

 その後、群馬わんにゃんネットワークが犬を引き取り、高崎市内の動物病院で12日から治療を始めた。14日に手術を受け、左側の脚を失ったが、病院で落ち着きを取り戻しているという。ネットワークの飯田有紀子理事長は「すぐに治療をしていれば、長く苦痛を与えることはなかった。首輪には飼い主の連絡先が書かれた迷子札が付いていた。警察を含め命を最優先に動いてほしい」と話す。
 

 前橋東署は「適切に保護し、できる限りのことをした。迷子札の文字は汚れやにじみで確認できなかった」としている。
 

 前橋市保健所は、土日でも緊急の際は対応するといい、「今後は負傷動物の情報があった場合は、担当者に連絡し判断を仰ぐよう当直の対応マニュアルを見直し、獣医師会の協力を得ながら休日の対応を改善したい」としている。
 

(遠藤雄二)

朝日新聞
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