TOP > 老猫ホームの恋 ご長寿「てつ」に超年下の「彼女」が! 「甘い生活」?で元気回復 親友の死を乗り越えて

トピックス

老猫ホームの恋 ご長寿「てつ」に超年下の「彼女」が! 「甘い生活」?で元気回復 親友の死を乗り越えて

亡くなった盟友トラくん(後ろ)と、てっちゃん=高橋さん撮影
亡くなった盟友トラくん(後ろ)と、てっちゃん=高橋さん撮影

 親友とのお別れから5カ月。老猫ホームのご長寿猫氏、てっちゃんはどうしているだろう? 先月訪ねてみると、なんとガールフレンドができていた。ちょっぴり元気をとりもどした彼の近況は……「甘い生活」?!

 

(末尾に「てつ&GF」のフォトギャラリーがあります。)

 

 東京都大田区にある老猫ホーム「東京ペットホーム」に暮らす、21歳の雄猫てつ(通称てっちゃん)(21)。今年1月15日に悲しい別れを体験した。相棒のトラ君(享年19)を病気で失ったのだ。このホームで出会って意気投合、毎日、男同士(!)で寄り添って寝ていた。以降、てっちゃんはがっくり元気をなくしてしまった。

 

 ずっと世話してきたスタッフの高橋あゆみさんが、当時を振り返る。

 

「友達がいなくなって寂しかったのでしょうか。お漏らしして寝てばかりになって……トラ君がいなくなった後、広場がすごく広く感じて、私たちも寂しかったです」

 

 人間に換算するとてっちゃんは100歳。いつ大往生してもおかしくない年齢だ。このまま生きる気力をなくしてしまうのではないか……。スタッフ全員が、そんな心配をした。

 

親友のトラ君が亡くなった直後は、部屋が広々としていた=2016年3月
親友のトラ君が亡くなった直後は、部屋が広々としていた=2016年3月

 ホームにはトラが亡くなった1月半ば時点で、てっちゃんを除いて、3歳から17歳までの猫9匹(雌8匹、雄1匹)がいた。この中で、てっちゃんと一緒に過ごせる子はいないだろうか?--スタッフたちは考えた。どの子でもいいわけではない。てっちゃんの年齢や、高齢ゆえの独特の行動を考慮して、相手を慎重に選ぶ必要があった。

 

「てっちゃんは目が悪く、無遠慮にぶつかるようにくっつく。それで、相手によっては、びっくりしたり、逆に威嚇したりすることがある。相性もあるし、相手もストレスを受けないようにしないと」(高橋さん)

 

 そんな中、新しい相棒として候補に挙がったのが、ビーちゃんだった。昨年5月にホームに来た、キジ模様の雌猫(14歳)で、人にも猫にもオープンな明るい性格だ。

 

 飼い主夫婦の妻が2年前に他界、その後夫も入院し、夫妻の友人が、夫婦宅に毎日通って世話をしていた。その友人が自ら引き取ることも考えたが、飼っていた先住猫との相性などがあって断念、ホームを探したという。

 

 ホームでは、それぞれの猫は基本的に個室(ケージ)を持ち、時間をずらしながら約8畳の広場でくつろいだり、運動したりする。てっちゃんのケージは広場の奥にあり、ビーちゃんの部屋はてっちゃんからは離れた場所にあった。スタッフは1月末ごろから、2匹が広場で過ごす時間を合わせるようにしてみた。

 

 果たして、てっちゃんは最初からビーちゃんに近づいた。ビーちゃんの方は様子見ながら、時々ぱこんと、てっちゃんに優しめの猫パンチを食らわせることもあった。

 

 てっちゃんは足腰が弱くて高いところに上れないが、ビーちゃんは身軽でどこにでもぴょんと上れる。「(てっちゃんを)しつこいと思ったときなど、ビーちゃんが広場の一段高いところに飛び乗って逃げられるようにしました。自分だけの場所を確保できるように」。スタッフが見守りながら、30分、1時間と、2匹が一緒にいる時間を少しずつ増やしていった。

 

 すると、どうだろう。てっちゃんに変化が現れた。起きている時間が少し長くなった!というのだ。

 

 「なんとなく、イキイキしてくる感じでした。年齢のせいで痩せてはいるんですが、以前に比べて、気持ちの面で若返った気がするんです」と、高橋さんはうれしそうに話す。

 

てっちゃん(左)とビーちゃん。仲良しの2匹=2016年5月、東京ペットホーム
てっちゃん(左)とビーちゃん。仲良しの2匹=2016年5月、東京ペットホーム

 筆者が5月半ばにホームを訪ねたときも、てっちゃんは、ビーちゃんのそばに、とことこと何度も寄って行った。ビーちゃんも機嫌よさそうに、ぴんと尾を立てている。

 

 だがてっちゃんが、ビーちゃんの顔に思い切り顔を寄せた瞬間。ビーちゃんがぱくっと、てっちゃんの耳をかんだ。「近すぎニャ」とでも言うように。それでもてっちゃんは、何事もなかったようにケロリ。

 

「じつはビーちゃん、ホームに来たときから歯がほとんどなくて……だからかんでも痛くないはずなんです」(高橋さん)

 

 

 亡くなったトラ君は、持病のてんかんの薬で常にぼーっとしていたため、てっちゃんがしつこく寄って行っても動じないのが良かった。ビーちゃんの場合は歯が悪いことが幸いし、てっちゃんにとって絶妙な相性になった。2匹は現在、一日の大半を共に過ごしている。

 

 てっちゃんとビーちゃんの年の差は7歳。人間に換算すると、約30歳にもなる。娘ほども離れた、年下のガールフレンドだ。

 

 トラ君としていたように抱き合って眠るまでではないが、「気になる存在」「気の合う仲間」であることは確かなようだ。

 

 高橋さんが、しみじみと言う。「広場に独りぼっちになってしまった時は、てっちゃんは本当に寂しそうでした。ビーちゃんが同じ空間にいるだけで、その寂しさは無くなったのではないかと感じています。今でも時々お漏らしはするけれど、以前みたいに力強く、ニャーニャーと鳴いて呼んでくれるようになりました。『なーに?』ってそばに行くと、安心してくれる」

 

 その力強さのまま、てっちゃん、がんばって。ビーちゃんが、そばにいるから。

 

(藤村かおり)

 

◇てつとトラの友情物語は

「友達が死んじゃった」老猫ホームの出会いと別れ てつとトラ、遊んで添い寝して……今はひとり

 

◇東京ペットホームの記事は

飼えなくなった犬猫を預かる老犬老猫ホーム 元飼い主の思い、仲間みつけた猫

 

前へ
てっちゃん(左)とビーちゃん。ビーちゃんの気配がすると、「おっ!」という感じで振り返る=東京ペットホーム
次へ
出典:sippo
1/14
前へ
次へ

専門の獣医師があなたの疑問にお答えします(健康医療相談)