盲導犬連れて転落死した男性、点字ブロックより線路側を歩く

 東京都港区の東京メトロ銀座線青山一丁目駅のホームで15日夕、盲導犬を連れた男性が線路に転落して死亡した事故で、男性が線路に近い白線付近を歩いていて足を踏み外したことがわかった。当時、ホームは盲導犬を連れての歩行に支障があるほどの混雑ではなかったが、男性は極端に視野が狭くなる障害があったといい、警視庁は詳しい状況を調べている。

 亡くなったのは、世田谷区祖師谷1丁目の会社員品田直人さん(55)。

 品田さんの知人によると、品田さんは北海道にある教会の幼稚園で働いていたが、難病を患い、目が不自由になって2002年に身体障害者1級の認定を受けた。今年3月に世田谷区に引っ越し、青山一丁目駅近くの職場で働いていた。盲導犬は11年から利用するようになり、今回の犬は14年から一緒だったという。

 赤坂署や東京メトロによると、品田さんは15日午後5時45分ごろ、ホームドアがない同駅のホームで、右側に盲導犬を連れて線路側を歩いていて、足を踏み外して転落した。ホームの端から1メートルには点字ブロックがあったが、端から66センチにひかれた白い点線付近を歩いていた。駅員が「白線の内側にさがって下さい」とアナウンスしたが間に合わなかったという。

 品田さんが転落した場所の5~6メートル前方には直径45センチの柱があったが、防犯カメラの映像では、品田さんが人とぶつかったり、柱を避けようとしたりした様子は映っていなかった。

 東京メトロによると、銀座線は全線開業が1939年と古く、ホームドアの設置には駅の形状を変え、ドアの重みを支える補強工事が必要になる。

 国土交通省によると、視覚障害者がホームから転落する事故は14年度に80件、13年度に75件発生。全日本視覚障害者協議会の山城完治理事は「ホームドアのない駅は、視覚障害者にとって点字ブロックの上を綱渡り状態で歩くようなもの。今回のような事故はいつでも起きうる」。日本盲導犬協会の広報担当、白井みちこさんは「ホームドアの整備に加え、視覚障害者に周囲が声をかける社会の意識がもっと高まってほしい」。

朝日新聞
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