子猫にミルク与えるボランティア 殺処分ゼロに貢献

『赤ちゃんネコのすくいかた 小さな“いのち”を守る、ミルクボランティア』(集英社みらい文庫)
『赤ちゃんネコのすくいかた 小さな“いのち”を守る、ミルクボランティア』(集英社みらい文庫)

 全国にさきがけて猫の殺処分ゼロを実現した熊本市の「熊本市動物愛護センター」を取材した本『赤ちゃん猫のすくいかた 小さな“いのち”を守る、ミルクボランティア』(集英社みらい文庫)が出版された。


(末尾に写真特集があります)

「ミルクボランティア」とは、生まれて間もない赤ちゃん猫に、母猫にかわってミルクをあげたり、排泄の手助けをしたりしながら、離乳までの間、自宅で世話をするボランティア活動のこと。ミルクボランティアによって育てられる子猫たちは、離乳して飼育の手間がかからなくなったころ、ふたたび施設に戻って、新しい飼い主を探す。

 本によると、施設に収容される猫の大半は、お母さんにミルクをもらわなければ生きられない赤ちゃん猫なのだという。8年ほど前までは、1年間に持ち込まれる猫は500~1000匹以上で、そのほとんどが子猫だった。なかでも、生まれて間もない赤ちゃん猫は、施設での世話が難しく、収容スペースも限られるため、衰弱死する前に殺処分せざるを得なかった。それが今では殺処分ゼロ、譲渡率もほぼ100%を達成している。

 この本では、フォトジャーナリストで、どうぶつ福祉ネットワークの代表でもある著者が取材し、民間のミルクボランティアと熊本市動物愛護センターが協力し合って猫の殺処分を減らしてゆく活動の様子が、順を追って詳細に分かるようになっている。センターの職員やボランティアの人々からミルクを飲ませてもらっている無邪気な赤ちゃん猫たちの写真から、「救いたい」という想いが伝わってくる。

集英社みらい文庫提供
集英社みらい文庫提供

 担当の編集者は「ミルクを飲んだり、お昼寝したりしている赤ちゃん猫の写真が盛りだくさんの本です。“かわいい~”と思いながら読んでいただき、最終的に、熊本の人たちの熱い思いが“殺処分ゼロ”を実現したことを、お子様から大人まで広く知っていただきたいです。“いのち”のことを考えるきっかけになってくれることを願っています。」と語る。

 最近では、東京都の小池百合子知事が2020年の東京五輪までに「ペットの殺処分をゼロにする」と宣言するなど、各自治体で犬猫の殺処分ゼロを目指す取り組みが盛んになりつつあるが、この本から実際にどうしたら猫を救えるのか、猫たちの未来が開けるヒントが見つかりそうだ。

『赤ちゃん猫のすくいかた 小さな“いのち”を守る、ミルクボランティア』
写真・文:児玉小枝
本体価格:640円+税
192ページ 集英社みらい文庫

sippo
sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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