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朝日新聞・朝日新聞デジタル|更新|2016/11/03

山本仁美さん 子育てしながら猫の保護活動20年 譲渡拠点「なないろしっぽ」を運営

山本仁美さん
山本仁美さん

■小さな命と縁つないで

 昨秋、保護猫の譲渡活動拠点「えんむすびスペース なないろしっぽ」を岡山市南区新保に開いた。猫カフェ形式で、小さな命と飼いたい人の縁をつなぐ空間である。

 訪ねてみた。

 いるいる。足元にトラジマの猫。いすの上に白い子猫。流し台の下で丸くなる猫。この日は12匹が思い思いにくつろぎ、遊び、居眠りをしていた。みな、元捨て猫たちだ。

 訪れた客は猫じゃらしなどを使って猫と戯れる。見向きもされず、ぷいっと立ち去られるのも、これまた猫との楽しいやりとりだ。

 若い頃は犬好きで、猫には関心がなかった。転機は約20年前のこと。娘が通う保育園に、子猫が4匹捨てられていた。「明日、保健所に持っていく」と聞き、たまらず「飼ってくれる人を探そう」。連れて帰った。

 当時住んでいた集合住宅はペット飼育禁止だった。大家さんに「飼うんじゃないから」と交渉し「一時のことなら」と許しをもらった。

 猫保護活動をしていた人に手伝ってもらい、10日ぐらいで引き取り手が見つかった。「その後、切れ目なく保護猫たちが次々滞在することになっちゃって」

 猫の保護は簡単ではない。人と折り合う「社会化」ができていない猫がいる。病気や障害があることもある。健診をし、ワクチンをうち、生後半年以上なら不妊手術をし、人に慣れる訓練を経て、ようやく飼い主探しができる。費用も手間もばかにならない。

 なないろしっぽのオープン当初は「野良猫にエサをあげていたら増えた。ひきとってもらえないか」などという相談が殺到した。

「エサをやったら居着いて増えるのは当たり前なのに。『それはあなたの責任でしょう』と断ると、怒り出す人がいます」と嘆く。


 スーパーで夜勤をしながら2人の子を育て、その合間を縫って保護活動を続けた。

 やみくもに猫を飼い、手に負えなくなる多頭飼育崩壊の救援に関わった。東日本大震災の被災地からの引き取りも続けている。「1人でできることは、本当に少ない」。時に心が折れそうになる。

「できることをできる範囲で」と自分に言い聞かせながら続けていると、いつのまにか仲間が増えた。なないろしっぽは、そんな仲間に支えられてできた夢の空間だ。

 手をかけた猫を譲る時、つらくはないのだろうか。

「猫は過去を引きずらない。会っても私のことなんてすっかり忘れてる。『今、幸せなんだな』と安心できるんです。過去を忘れない犬なら、つらくて続けられなかったでしょうね」

(中村通子)

1975年、岡山市生まれ。現在、一戸建てに娘2人、飼い猫8匹と暮らす。ここに常時、保護猫が7、8匹加わる。「なないろしっぽ」利用は寄付金として入場1時間千円、1ドリンク付き。中高生500円。開催日時はブログか電話(080・3876・6882)で確認を。

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