ゾウの「ふじ子」、ストレスで 夜中も立ったまま眠る?

多くの市民に親しまれているふじ子=岡崎市提供
多くの市民に親しまれているふじ子=岡崎市提供

 愛知県岡崎市の市東公園動物園でゾウ舎改築工事のため、来園者がアジアゾウの「ふじ子」を見られなくなって7カ月が過ぎた。ふじ子は元気だが、工事の騒音などでストレスを抱えているという。体調に配慮しながらの工事は当初予定から1カ月半ほど遅れ、来園者の前に再び姿を現すのは4月下旬にずれ込む見通しだ。


 1982年に広島の遊園地から譲り受けたふじ子は48歳。子どもたちがコンベヤー式の餌やり機にリンゴやサツマイモを置くと、鼻で器用にコンベヤーを回して口に運ぶ姿で、公園のシンボル的存在だった。無料でゾウが見られるのは、全国に2カ所しかない。


 平均寿命が60歳ほどとされる飼育ゾウとしては高齢ではないが、市は「ふじ子が元気なうちに」と老朽化したゾウ舎の建て替え工事に着手。ふじ子は工事用フェンスに囲まれ、昨年6月から見られない状態が続いている。

新しいゾウ舎の完成イメージ図=岡崎市提供
新しいゾウ舎の完成イメージ図=岡崎市提供

 当初は3月17日に完成し、同月下旬にはお披露目される予定だったが、工期は4月末に延びた。関係者が「予想外」というふじ子のストレスが原因だった。


 いつもは爪の手入れなどで1日3回、脚を上げるトレーニングをする。だが、工事の音や振動におびえ、トレーニングができない状態が続いた。体調管理に欠かせない作業のため、1回あたり30分から1時間程度のトレーニングの間は工事を中断。この積み重ねが工期の遅れにつながった。


 今回の工事にあたり、市は体調管理のために夜間の監視カメラを新たに設置した。これまでは真横に寝転んでいたのが、工事が始まってからは一度も横になって休むことはせず、立ったまま寝ているという。飼育員の小川敬史さんは「ゆっくり寝られていないのが一番心配」と気をもむ。


 公園には「ふじ子は元気にしていますか?」という手紙のほか、来場者からも「いつになったら見られるの?」との声が届く。市動物総合センターの加藤直之さんは「ふじ子の体調に気をつけて工事を進めているので、もう少し待って欲しい」と話している。


(北上田剛)

朝日新聞
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