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sippo・sippo|更新|2017/05/10

へその緒が付いた子猫3匹を拾った夏休み 明るく元気に育ったオス猫「ミー吉」

保護して10か月、立派に育ったミー吉君
保護して10か月、立派に育ったミー吉君

「あんなに大変で、あんなに楽しい夏休みはなかったな」


 都内に住む小学5年の女の子、ニイノちゃん(11歳)が、手にのるほど小さな3匹の子猫を保護したのは昨年7月のこと。家を訪ねると、そのうちの1匹、立派に成長したミー吉とともに出迎えてくれた。

 

(末尾に写真特集があります)


「ママと一緒に、犬のバニラ(2歳)を美容院に連れて行く途中だったんだけど、『ニャア、ニャア』と声がして。近寄ると、黒い物がモゾモゾ動いていた。ネズミかなって思ったら、猫だったのでびっくり」

 

昨年7月、家の近所で子猫を保護した瞬間(お母さんが撮影)
昨年7月、家の近所で子猫を保護した瞬間(お母さんが撮影)

 生まれて間もないのか、まだへその緒がついていた。ニイノちゃん親子は、いったんはその場を離れたものの、猫のことが気になって仕方なかった。2人とも大の動物好きなのだ。でも、人間が触ることで親猫が戻らなくなるのではないか、と気になった。さらにもうひとつ問題があった。父親がひどい猫アレルギーなのだ。だから、家で飼うことはできない……。


「あーどうしようと思っていたら、夕方に雨が降ってきて、ママと一緒にタオルを持って子猫を救いに行きました。パパには『命を助けたいから、家におかせてください』ってお願いして。家では飼わないってことも約束しました」

 

ニイノちゃんが作った子猫の家(保育箱)。横にいるのはバニラ
ニイノちゃんが作った子猫の家(保育箱)。横にいるのはバニラ

 ニイノちゃんが段ボールと布で猫ハウスを作っている間に、母親が粉ミルクと哺乳瓶をペットショップに買いに走った。哺乳瓶一本では足りず、すぐに100円ショップで注射器を2本買い足した。最初のうち猫たちはミルクをうまく飲めなかった。そのため「ちゃんと生きていけるのかな」と、家族はとても心配したのだという。


「主人の職場の方に、生まれてすぐの子だと(病気を持っている場合)死んでしまう可能性もあると聞いて、段ボールを頻繁にのぞき、動いているとホッとして。夏休みだったので、家族が交代で、数時間おきに授乳と排泄の世話をしたんです。主人も手伝ってくれました」


 ニイノちゃんが記録していた「ねこけんこう記録表」には、当時のことが残っている。

 

保護してすぐに書きはじめた猫記録表より
保護してすぐに書きはじめた猫記録表より

「ミー吉・98g、ミー助・83g、三彩乃(ミーノ)・86g」(2日目)


「ミー吉・103g、ミー助・78g、三彩乃・82g」(3日目)


 1日でミー吉は体重が増えていたのに、ミー助とミーノは少し減っていた。それでも、家族がつきっきりで世話をした甲斐があり、子猫は3匹とも無事に育った。雌のミーノは白黒の境目がはっきりし、雄のミー吉とミー助はグレーがかった黒が濃くなった。引き取り先も、早々に決まった。


「主人の学生時代の友人宅にミーノが、友人の知り合いのお花屋さん宅にミー吉とミー助の2匹がそろって行く……はずでした。ところが、土壇場で変わったんです」と、母親が首をすくめる。


「実は、いざ全員を送り出すことなったら、さみしくて、耐えられなくなって」


 そう話す横で、ニイノちゃんがいう。


「わたしは子猫全員がよそにいくって諦めていたのに、ママがわんわん泣いちゃった……。あんまり泣くから、パパも、しかたないねってなって(笑)」


 ひと夏、愛情をかけて育てた“わが子”を、母親はどうしても手放せなかったのだ。

 

よちよち、歩き始めたころの3匹(保護して14日のころ)
よちよち、歩き始めたころの3匹(保護して14日のころ)


「2匹一緒にもらわれたほうがいいかなとも思ったのですが。先方にわがままを聞いていただきました。情がすっかり移ってしまったのですね、と理解してくださって」


 子猫を拾ってから3週間後、一家は前から決まっていた旅行に行くことになった。その間、子猫3匹を“ミーノの引き取り先”である家族が預かり、そこからお花屋さんに1匹もらってもらうことにした。


 家に残すのは、ミー吉と決めていた。ミー吉とミー助は、顔は瓜二つだが、尾の形は違っていた。ミー吉のは“鍵シッポ”で、ミー助のはストレート。その尾について、母親にはある思いがあった。


「尾がまっすぐなほうが、引き取り先で可愛がってもらえるのではないか、と考えてしまったんです……・。結果として、ミー吉は我が家の先住ミックス犬・バニラとの相性もばっちりで、家族に迎えて良かったなって思います」


 ミー吉は、ニイノちゃん、パパ、ママのことはもちろん、バニラのことも大好きなのだ。2匹でむつまじく遊んだり、追いかけっこをしたりする、いいコンビ。生後10か月の今、体重は堂々5㎏を超え、バニラよりも重たい。テーブルの上に乗ってしまうのが家族の悩みだというが、ミー吉は明るく伸び伸びと育った。その性格に、ニイノちゃんも驚いている。


「猫って、目がギョロッとして、少しこわいイメージもあったけど、ミー吉は全然違う。友達が家にきても逃げないし、かわいいって皆もいってくれます。勉強している時はじっと見ていて、空気が読める」

 

ニイノちゃんの勉強中、静かにそばで見ているミー吉君
ニイノちゃんの勉強中、静かにそばで見ているミー吉君

 ゴールデンウイークには、バニラと一緒にミー吉も車に乗って、埼玉県の実家に里帰りした。父親のアレルギーは、病院で出してもらった薬がよく効き、幸い今は症状が出ないという。


 ところで、残る2匹のその後は……。ミーノと仮に名付けられた猫は、その後「うなぎ」に改名。先住のシマリス「りすお先輩」と仲良く暮らしている。一方、ミー助と名付けられた猫は「龍」に改名。先住の猫、虎千代の背中におんぶするのが得意だ。幼い頃のミー吉も、バニラによくおんぶしていたのだとか。


「写真を見せてもらったら、うなぎちゃんと龍君の仕草がミー吉に似ている。やっぱり兄妹ね」


 母親がそういうと、ニイノちゃんがパッと目を輝かせた。


「ママ、いつか、猫の同窓会ができるといいね!」


(藤村かおり)


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