火薬のにおい、かぎわける! 大阪府警が専属の警備犬を導入

ターミナルを巡回する民間の警備犬とハンドラー(左)。右端はハンドラーになる予定の警部補=関西空港、伊藤進之介撮影
ターミナルを巡回する民間の警備犬とハンドラー(左)。右端はハンドラーになる予定の警部補=関西空港、伊藤進之介撮影

 2019年に関西でも開催予定のラグビーワールドカップなどの国際イベントを見据え、大阪府警がテロ警戒や警備をする警察専属の「警備犬」を来年度から導入する。爆発物の探索やテロリスト制圧などに向けた訓練を積み、大阪だけでなく西日本を中心に各県への派遣も想定している。


 警備犬は、大規模イベントでの警備や犯人の制圧、災害現場での被災者の捜索などが任務だ。事件現場で容疑者などの足取りを追う鑑識犬とは違い、空気中に漂う爆発物の火薬のにおいを嗅ぎ分けるなどの能力が必要になる。警察官らが不審物や不審者を発見し、警備犬が火薬のにおいなどから識別できれば、被害の未然防止や検挙にも役立つ。一般的にジャーマンシェパードなどの大型犬が起用される。


 警察庁によると、8月末時点で警察が直接管理する「直轄」の警備犬がいるのは、警視庁と千葉県警、北海道警のみ。大阪府警では民間が飼育する「嘱託」の警備犬に、必要に応じて要請している。大阪マラソンなどのスポーツイベントや空港警備にあたり、過去5年は年間約170回の出動があったという。


 犬を訓練し、一緒に行動して現場で指示を出す「ハンドラー」が民間人であることから、爆発物の捜索や犯人制圧など危険を伴う場面では、嘱託の警備犬には制約がある。海外では、高まるテロの脅威を受け、警察犬がテロリストの拠点急襲などに活用されている。日本でも19年の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)や20年の東京五輪・パラリンピックが予定され、直轄の警備犬の必要性が高まっているという。


 府警は昨年8月に導入を決定。18年度に犬舎を設けて順次、数頭の運用を始める。各地の大規模イベントや災害時に派遣されることも視野に入れる。府警はハンドラーになる警部補や巡査部長数人の人選を終えており、今年度中に警視庁で訓練する予定。その後、大阪に戻り警備犬とともに一定期間の訓練に臨む。


 ハンドラーになる警備課の男性警部補(37)は警備犬導入の業務に携わりながら、府警の鑑識犬のハンドラーから話を聞いて犬の特性や訓練について知識を磨くなどして準備している。警部補は「緊迫した場面でもしっかり対応できるよう努めたい。警備犬では東の東京、西の大阪と言われるようにやっていきたい」と話す。


(高野裕介)

朝日新聞
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