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藤村かおり・sippo|更新|2018/01/11

土に埋められ…元飼い主が入院… ご長寿猫の28の物語が本に

病気から奇跡の復活を遂げたまろ眉のマロン(16歳)=祥伝社/ケニア・ドイ
病気から奇跡の復活を遂げたまろ眉のマロン(16歳)=祥伝社/ケニア・ドイ

 愛猫が“元気に長生きするには、どんな工夫が大切なのか――。その秘訣を探るように、15歳以上の猫と家族を訪ね、役立つ情報と印象的なストーリーをつづった書籍『ご長寿猫がくれた、しあわせな日々』(祥伝社)が発売された。

 

(末尾に写真特集があります)

 

「うちの猫『こじろう』が15歳を越えたあたりから通院回数が増え、家族の負担も増えてきたので、他のシニア猫の暮らしを“のぞいてみたい”と思ったんです」

 

『ご長寿猫がくれた、しあわせな日々』(祥伝社)
『ご長寿猫がくれた、しあわせな日々』(祥伝社)

 著書のケニア・ドイさん(日本人カメラマン)が、企画の動機を語る。


 本書には、ケニアさんが2015年からサイト「フェリシモ猫部」の連載「猫又トリップ」で取り上げた15歳~24歳(人の年齢に換算して75歳~100歳位)の猫たちが続々と登場する。連載後に旅立った猫もいるが、長く命を紡いできた道程や背景はさまざまだ。


 たとえば、“偶然の出会い”が今にいたる茶白猫の兄弟。


「だい」と「ちぃ」(合わせてだいちぃ=大地)は16年前、他の兄弟と一緒に、雑草が茂る空き地に埋められていた。


 たまたまそばを通りかかった女性が、子猫の鳴き声を聞きつけた。不自然に花が植えられた土を掘ると、石の下にもがき苦しむ子猫が3匹いた。まだ生後1~2週間だった。そのまま家に迎え入れた。1匹はよそにもらわれ、2匹はそのまま女性宅で育った。

 

空き地に埋められていた16歳の「だい」(右)と「ちぃ」=祥伝社/ケニア・ドイ
空き地に埋められていた16歳の「だい」(右)と「ちぃ」=祥伝社/ケニア・ドイ

「16歳を過ぎてからは2匹とも腎臓病の予防食に変えて、取材から2年経た18歳の今も元気にしています」とケニアさん。


 生きるには、まず“運”が大事なのだ。もちろん、フードの内容や、住む環境も。


 大人になって家と飼い主が変わった、こんな猫の例もある。


 18歳のチンチラミックス(♀)の「モコ」は、飼い主の入院により、医師を通じて、今の家族である女性が“一時預かり”をした。飼い主はモコの趣味やごはん内容とともに「太らせるな!」と注意を書いたノートを託し、女性はそれを守った。


「8年経つ今もモコは足腰が強く、階段も軽快に上がる。元の飼い主さんは亡くなりましたが、一時預かりで生まれた“責任”を全うしたご家族だからこそ、ご長寿モコが存在している」(ケニアさん)


 もともとの連載タイトルにもある「猫又」というのは、長生きした猫が妖怪になって、尾が二つに分かれるという伝説だが、実際、ご長寿猫には時として不思議なことも起きるようだ。


 16歳のブリティッシュショートヘアの「栗(マロン)」は、ケニアさんが取材に行く前に腹水がたまり、救急病院に駆け込んだ。「拘束型心筋症」ほか多くの病名がつけられ、「いよいよだ」と飼い主が自宅に連れ帰り、介護の準備をすると、けろっと回復してしまったのだという。


「『やっぱり家が最高!』という気持ちは動物も同じですね。持って生まれた力を生かせるかどうかは、家族の判断力にもよるのかもしれません。だからこそ飼い主さんは皆、勉強熱心です」


 人の4倍の早さで年を取り、飼い主の年齢を飛び越えてしまう猫は、人生の鑑だともいえる。その表情は、哲学者のようだったり、笑みを浮かべるようだったり、あどけなかったり、味わい深い。


 最近、100匹目のご長寿猫を取材したというケニアさんは、この仕事は意味があり、やめられないと話す。

 

お肉好きな18歳のコムタン=祥伝社/ケニア・ドイ
お肉好きな18歳のコムタン=祥伝社/ケニア・ドイ

「世話の焼けるご長寿猫ですが、子猫とは違った可愛さがあり、尊敬もします。長年かけて築いた飼い主さんとの信頼関係があり、『人間はこわいものじゃない』『同じ生き物だ』と認識しているのか、(隠れたりして)取材がダメになることが極端に少ないんですよ」


 ハウツー本としてはもちろん、猫の奥深い魅力や生きる尊さを感じさせてくれる一冊だ。

 

『ご長寿猫がくれた、しあわせな日々~28の奇跡の物語~』
著者:ケニア・ドイ
版元:祥伝社
価格:定価1300円+税
体裁:四六版ソフトカバー 168頁

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16歳の三毛猫「キリ」はきれいな瞳の女の子 祥伝社/ケニア・ドイ
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出典:sippo
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