1泊2日ボランティアの旅 保護犬の世話を体験

人慣れトレーニングの一コマ。散歩中にすれ違う人が傘を広げる
人慣れトレーニングの一コマ。散歩中にすれ違う人が傘を広げる

 今月に入って、ピースワンコ・ジャパンのシェルターには、毎週金曜日に十数人のみなさんがボランティア作業に訪れている。ペットフードやスナック菓子などを販売する「マースジャパンリミテッド」などグループ3社の社員を対象とした「マース ボランティア プログラム(MVP)」の企画で、実習を通じて犬の保護シェルターの現状を学ぼうというものだ。1泊2日の交通・宿泊費やボランティア保険料などをMVPが負担し、3社の社長も参加している。

 

広い芝生の上を、犬と一緒に走る
広い芝生の上を、犬と一緒に走る

 早朝に東京などを出発し、広島県神石高原町にある施設に到着した一行は、木々の緑を見ながら昼食をとった後、ピースワンコの活動が始まったいきさつや保護・譲渡の状況についてスタッフの話を聞く。続いて、人にあまり慣れていない保護犬と接するときの注意点についても説明を受ける。参加者の中には犬を飼った経験がない人も多い。そういう人には、「人間が怖くないということを犬に教えてあげてください」とアドバイスする。


 その後、3、4班にわかれて、スタッフと一緒に犬の散歩、人慣れトレーニング、シャンプーなど、シェルターの日常を体験する。最後に餌やりをするのだが、そこはさすがにフード会社のみなさん。フードの粒の大きさをチェックしたり、病気の犬向けのフードで毛並みや肉付きがどう変化しているか質問したりと、興味津々の様子だ。


 参加した方の感想を聞くと、「スタッフがたくさんの犬の名前を全部覚えていて、愛情を注いで世話をしていることが伝わった」「ピースワンコの犬の表情は明るく幸せそうで、保護犬のイメージが変わった」など、うれしい内容が多かった。


 翌土曜日は自由行動で、続けてボランティアをして帰る人も多いが、尾道や倉敷など近隣の観光に出かける人もいるようだ。


 私がかつて見学した米国の動物保護施設では、ボランティアワークと観光をセットにした「ボランティア観光」を積極的に受け入れ、地域の振興にも一役買っていた。ピースワンコも目指すところは同じ。犬の世話を一緒にするという経験は、いわゆるチームビルディングにも効果があるようで、企業の社員研修としてもうってつけだ。プログラムに磨きをかけ、もっと多くの方を受け入れていきたいと考えている。

 

保護犬との接し方についてスタッフの説明を聴くボランティアの皆さん
保護犬との接し方についてスタッフの説明を聴くボランティアの皆さん
大西健丞
1967年生まれ。NPO法人「ピースウインズ・ジャパン」代表理事。広島県神石高原町にシェルターを設け、捨て犬の保護・譲渡活動に取り組むプロジェクトを運営している。

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この連載について
大西健丞のピースワンコ日記
NPO「ピースウインズ・ジャパン」代表の大西健丞さんが、殺処分ゼロをめざして犬の保護活動に取り組む日々を語ります。
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