犬を飼う前に知ってほしいこと 犬種ごと性格に違いがある

牧羊犬として有名なボーダーコリー
牧羊犬として有名なボーダーコリー

 純血種は、その外観だけでなく性格も似た特徴を持つことが多いため、犬種の性格を知っておくことは大切です。

 ノウハウ本を参考にされるのもいいのですが、そういった本には良い面だけが書かれていることが少なくありません。実際にその犬種を飼っている人はもちろん、獣医師や動物看護師、しつけインストラクターなどさまざまな犬種と接する機会の多い人たちから話を聞き、問題点も含めて知っておくといいと思います。

 特に、仕事をすることを目的に作られた犬種をペットとして飼う場合には、その犬種が何の目的で作られたかを確認しておくことも大切です。仕事をすることを目的に作られた犬種は、特定の行動が強く出るように作られているため、その行動に関連した問題行動を起こしやすくなります。

 たとえば牧場で家畜を追いかけてまとめる牧羊犬や、ハンターとともに野生動物を追跡する猟犬などは、「追いかけ本能」が強い。そのため散歩中に自転車やバイクなどを追いかけたり、小動物を追いかけたりすることがあります。また番犬や護衛犬などでは警戒心が強く、家に来た人を威嚇することもあります。

 そして目的にかかわらず、もともと人のために働くことを目的に作り出された犬種はエネルギーレベルが高く、仕事をしてもらうには適していますが、家でじっとしているのは苦手です。このような犬種はいわゆる「三食昼寝つき」の家庭生活には向いていません。そればかりか運動量が少ないとストレスがたまり、いたずらや破壊行動を起こしやすくなります。

 また運動不足の生活は肥満につながりやすく、さらにフラストレーションがたまって吠えや攻撃性に関連した問題も起こしやすくなります。したがって高齢者や体を動かすことが苦手な人には向きません。

 これらの犬種を家庭犬として飼うのであれば、一緒にドッグスポーツを楽しむなど、積極的な目的を持って飼った方がいいと思います。朝夕の散歩や、室内や庭先での遊び程度で満足する家庭犬を望むのであれば、小型の愛玩犬がおすすめです。

村田香織
獣医師、もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「こいぬこねこの教育アドバイザー養成講座」メイン講師でもある。「パピークラス」や「こねこ塾」などを主催、獣医学と動物行動学に基づいて人とペットが幸せに暮らすための知識を広めている。

sippoのおすすめ企画

sippoの投稿企画リニューアル! あなたとペットのストーリー教えてください

「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!

この連載について
ペットのこころクリニック
犬や猫の問題行動に詳しい獣医師の村田香織先生が、ペットと幸せに暮すためのしつけや飼い方のコツをていねいに解説します。
Follow Us!
編集部のイチオシ記事を、毎週金曜日に
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。


動物病院検索

全国に約9300ある動物病院の基礎データに加え、sippoの独自調査で回答があった約1400病院の診療実績、料金など詳細なデータを無料で検索・閲覧できます。