動物病院が「楽しい場所」に 子犬を参加させたいパピークラス

写真① パピークラスの卒業生ルーシーちゃん(左)とトコちゃん(右)
写真① パピークラスの卒業生ルーシーちゃん(左)とトコちゃん(右)

 子犬を飼いはじめたら、パピークラス(子犬のしつけ教室)に参加されることをおすすめします。特にもし近隣の動物病院でパピークラスを行っているようであれば、ぜひ参加してください。

 動物病院でパピークラスを行うことには大きな意味があります。犬は生涯を通じて、ワクチン接種やフィラリア予防など、さまざまな病気の予防や治療のために動物病院を訪れることになります。

 子犬は自分の経験を通じて、初めて出会った人や場所などを安全なものか危険なものかを判断しますが、それはその後の行動パターンを大きく左右します。

 子犬の時期に動物病院に行ったときに診察台でおいしいものをもらったり、パピークラスで他の子犬と仲良くなって楽しく遊べたりすれば、動物病院は安全で楽しい場所と考えるようになります(写真①)。逆に動物病院で注射や手術など子犬にとって嫌なことばかりされると、動物病院は危険な場所、獣医師や動物看護師は嫌な人だと学習します。

「動物病院が恐ろしい場所、痛いことをする怖い人がいる場所」と思うのと、「友達と遊べる楽しい場所、おいしいものをくれるやさしい人がいる場所」と認識するのとでは、後々大きな違いが生まれます。

 ワクチン接種やフィラリア予防のために動物病院に行く場合もそうですが、犬が本当に病気になった時に、検査や治療は大きなストレスになります。強いストレスは精神的な苦痛だけではく、病気の回復にもよくない影響を及ぼすことがわかっています。

 パピークラスで動物病院のスタッフといい関係が築かれていれば、病気で病院を訪れた際にも、コミュニケーションが取りやすく、犬も安心します。当院のパピークラスでも病院のスタッフが、子犬を診察台の上に乗せてご褒美をあげたり、なでたりします。病院に対してまだ警戒心を持っていない子犬は、すぐに診察台に慣れ、そこでご褒美を食べたり触られたりすることを楽しみ、病院が大好きになります。そして成長後も安心して動物病院に来ることができるのです(写真②)。

写真② パピークラスの卒業生チョビちゃんの診察風景
写真② パピークラスの卒業生チョビちゃんの診察風景

 さまざまなものに慣れやすい子犬の時期はあっという間に過ぎてしまいます。子犬が家に来たらできるだけ早く、好物を持って動物病院に行き、子犬のしつけや健康管理について相談しましょう。その動物病院でパピークラスを行っているのであればぜひ参加してください。

村田香織
獣医師、もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「こいぬこねこの教育アドバイザー養成講座」メイン講師でもある。「パピークラス」や「こねこ塾」などを主催、獣医学と動物行動学に基づいて人とペットが幸せに暮らすための知識を広めている。

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この連載について
ペットのこころクリニック
犬や猫の問題行動に詳しい獣医師の村田香織先生が、ペットと幸せに暮すためのしつけや飼い方のコツをていねいに解説します。
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