猫の食欲が落ちたら、鼻の状態を疑って

(写真は本文と関係ありません)
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  • :猫の食欲がなくなりました。
    :山根 いつから、どのくらい食べなくなったのでしょうか? 猫は肉食で、1日かけてダラダラと食事をします。またエサの香りや温度、形状などへのこだわりが、犬と比べると強い動物です。そのためペットフードを替えるなどした場合に、一時的に食べなくなることもあります。
  • :昨日から全く食べていません。ペットフードも替えていません。
    :山根 本当に食欲がないのであれば、内臓になんらかの疾患がある可能性があります。また、もし食欲はあるのに食べられないのだとすると、口内炎や歯肉炎などが疑われます。

    このほか、エサを食べなくて動物病院に連れられてくる猫に意外と多いのが、鼻になんらかの障害があり、においをかげなくなっているケースです。前述のように猫は、エサの香りに敏感です。そのためエサのにおいがかげないと、食欲がなくなることがあります。こうした場合、猫の鼻を掃除してあげたり、またはエサを温めて香りを強くしてあげたりすると、食べるようになります。

    いずれにせよ丸2日もエサを食べないようなら、必ず動物病院に連れて行きましょう。3日以上エサを食べない状況が続くと、脂肪肝になる可能性が高まります。脂肪肝は進行すると肝不全などを起こし、死に至ることもあります。
  • :猫のエサについて、ほかに気を付けるべきことはありますか?
    :山根 猫には犬以上に、市販のペットフードを食べさせたほうがいいです。猫はタウリンが欠乏すると、拡張型の心筋症になりやすくなります。また青魚ばかり食べさせていると、生活習慣病である黄色脂肪症や下部尿路疾患(尿路閉塞)になってしまいます。黄色脂肪症を防ぐには、抗酸化物質として働くビタミンEをしっかり取る必要があります。つまり、こうした栄養素が過不足なく入っているペットフードを食べさせることが、猫の健康維持にとってきわめて重要なのです。
  • :水をしっかり飲ませることも大切だと聞きました。
    :山根 その通りです。祖先がリビアの乾燥地で暮らしていた猫は、水をあまり飲みたがらない傾向があります。でも水をしっかり飲ませないと、腎臓の病気などにかかりやすくなります。このため、猫に水を飲ませる工夫をしてあげることは、飼い主の重要な責任の一つです。水を飲まないことが気になるようであれば、ドライフードばかりでなく、ウェットフードを併用するなどしてあげましょう。
山根義久
1943年生まれ。動物臨床医学研究所理事長、倉吉動物医療センター・米子動物医療センター 会長、東京農工大学名誉教授。医学博士、 獣医学博士。2013年まで日本獣医師会会長を務めた。

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この連載について
診察室から
動物臨床医学研究所の理事長を務める山根義久獣医師が、ペットの病気に関する質問にわかりやすく答え、解説するコラムです。
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