子猫に歯磨き習慣を!  ブラッシングしながら口元をさわって

歯ブラシをかむ山中ローくん。スイッチオンです
歯ブラシをかむ山中ローくん。スイッチオンです

 猫も人と同様に、歯周病が多く発生します。歯周病は、口の中の不快感や痛み、口臭の原因になるばかりか、血流を介して細菌が腎臓、肝臓、心臓など全身の重要な臓器に運ばれて悪影響を及ぼします。健康で長生きするためには、歯周病の予防が大切です。ぜひ子猫の頃から歯磨きをする習慣をつけておきましょう。また歯磨きと同時に口の中を見る習慣をつけ、異常を見つけたら早めに獣医師に相談しましょう。


 歯磨きを習慣にするためには、猫を歯磨き嫌いにしないことが大切です。歯磨きの練習をしたら、次に歯ブラシを見せたとき、猫がどんな行動をするか観察してください。歯ブラシを見て逃げようとするようならやり方がまずいと考えて下さい。


 以下にコラム(第53回)でお伝えした歯ブラシブラッシングを応用して歯磨きに上手に慣らす手順を書きますので参考にしてください。

 

ステップ①

 猫が気持ちよく寝ている時に歯ブラシであごや口の周り、頭部などをブラッシングして、歯ブラシブラッシングを大好きにさせましょう。(第53回コラムを参考にしてください。)


 猫がのんびり眠っている時など、スイッチオフの時に行うのがコツです。猫がスイッチオンになって歯ブラシをおもちゃにしたり、かみそうになったらすぐに歯ブラシを取り上げてください。歯ブラシをかむ癖をつけてしまうと歯磨きをしようとする度に歯ブラシをかむようになり、歯磨きがうまくできません。


 しっかり遊んで遊び疲れて眠っているようなタイミングでもう一度チャレンジしてみましょう。

ステップ②

 片方の手で歯ブラシブラッシングをしながら、もう一方の手で口元やあごのあたりを気持ちよく触る練習をしましょう。

ステップ③

 歯ブラシブラッシングをしながら口元を触り、その延長でそっと唇をめくってみましょう。一瞬でやめてすぐに猫が好む部分を歯ブラシブラッシングします。

ステップ④

 猫が唇をめくることを受け入れてくれるようになったら、口周りをブラッシングした延長で歯と歯茎の間にそっと歯ブラシをあててみましょう。一瞬でやめてすぐに猫が好む部分を歯ブラシブラッシングしたり、なでたりします。

ステップ⑤

 少しずつ歯ブラシを歯と歯ぐきの間に当てる時間を延ばしましょう。猫が嫌がる前にストップして気持ちよく行うことが成功のコツです。嫌がるのを無理にしていると攻撃性を引き出してしまう危険性がありますから、あくまで穏やかに取り組んでください。練習はほんの少しの時間で十分です。短時間の練習を根気よく続けましょう。また力を入れすぎると嫌がる原因になりますので、そっとやさしくブラッシングしてください。特に歯の抜け替わりの時期は注意が必要です。また口腔内に異常があるときには獣医師に相談してください。

*本格的に歯磨きをする時)
ブラッシングする歯ブラシと歯に当てる歯ブラシは別のものを使い、歯に当てる歯ブラシは動物用の小さくて柔らかいものを選んで、水でぬらすか好みの歯磨きペーストをつけておくと良いでしょう。

 

*歯ブラシブラッシングによる方法がうまくいかない場合)
空腹時に食べ物を使いながら少しずつ慣らすこともできます。まず好物(ペースト状のものが使いやすいでしょう)を口元に持ち、それをなめさせながらもう一方の手でやさしくマズル(鼻口部)を触ったり、歯ブラシを当てる練習をします。猫が食べ物に夢中になっている間に口を触ることに慣らします。口を触ることに抵抗がなくなったら、歯ブラシブラッシングと同じ要領で、短時間歯ブラシを歯と歯茎の間に当てて、すぐに好物を与えます。

村田香織
獣医師、もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「こいぬこねこの教育アドバイザー養成講座」メイン講師でもある。「パピークラス」や「こねこ塾」などを主催、獣医学と動物行動学に基づいて人とペットが幸せに暮らすための知識を広めている。

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この連載について
ペットのこころクリニック
犬や猫の問題行動に詳しい獣医師の村田香織先生が、ペットと幸せに暮すためのしつけや飼い方のコツをていねいに解説します。
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