犬のマラセチア感染症 まずはこまめにシャンプーを

(写真は本文と関係ありません)
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  • :10歳のシーズーを飼っています。1歳の時にマラセチア感染症と診断されました。治療で正常な状態に戻っても数年おきに再発。最近は皮膚が黒ずみ、毛の量も減ってきました。(奈良県・女性)
    :犬がマラセチア感染症にかかることは珍しくありません。ワクチン接種で動物病院に来た時に、かゆがるしぐさをするので調べてみたら感染していた、といったケースもよくあります。


    マラセチア菌というカビの一種に感染して発症し、症状としては皮膚炎と外耳炎にわけられます。皮膚炎は目や口の周り、指の間、わきの下、脚の付け根などに生じ、激しいかゆみを伴います。皮膚にかさつきやべたつきが見られ、長引くと皮膚の黒ずみ、抜け毛などが起きることも。


    外耳炎では頭を振るようになったり、耳のあたりをしきりにかいたり、粘りけのある分泌物によって耳垢(みみあか)が増えたりします。耳を触られると痛がりもします。


    治療法としては、まずはこまめに薬用シャンプーで洗ってあげるよう指導するのが一般的。また外耳炎なら、点耳薬も処方します。抗真菌作用のある飲み薬は皮膚炎でも外耳炎でも使うケースが多いです。症状があまりにひどいと一時的にステロイドを使うこともありますが、デメリットもあるので要注意。獣医師と慎重に話し合ってください。


    やっかいなのは、治療で状態が改善しても、再発しやすい病気だということです。体調や季節によって繰り返し発症します。犬にとってつらいのはもちろん、飼い主にも大きな負担になります。飼い主さんは、根気強くこの病気につきあってあげる必要があります。

山根義久
1943年生まれ。動物臨床医学研究所理事長、倉吉動物医療センター・米子動物医療センター 会長、東京農工大学名誉教授。医学博士、 獣医学博士。2013年まで日本獣医師会会長を務めた。

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この連載について
診察室から
動物臨床医学研究所の理事長を務める山根義久獣医師が、ペットの病気に関する質問にわかりやすく答え、解説するコラムです。
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