柴犬の妙な食へのこだわり 付き合うのも飼い主のつとめ?

いつもと違う食べ物をあげると少し警戒する、大きい塊のものは食べない、日本犬なのに洋食が好き♥など、柴犬達の飽くなき食へのこだわりについて、勝手に考察してみたぞ~。
Text:Mari Kusumoto
Photos:Minako Okuyama、Teruhisa Tajiri


愛犬の食へのこだわりに付き合うのも飼い主の喜び!?

 初めて食べるものは必ず吐き出す、他人からもらうものは食べない、外では水を一切飲まないなど、日本犬ほど食へのこだわりが強い犬はいないのでは? ちなみにまる子は、骨ガムなど「お宝的なもの」をもらうと、キューキュー鳴きながらくわえて持ち運ぶ。で、座布団などのふかふかした場所に埋め、飼い主がその近くを通ると威嚇してガムを守る欲深なところがある。そのくせ、パンの大きい塊をあげると「大きすぎて食べられません。小さくちぎって!」とまたもやキューキュー鳴く始末。日本犬は野生時代の名残が比較的強く残ってるって言われるけど「この肉、大きすぎます。小さくカットしてください」なんて鳴いてたら、昔だったら完全に食いっぱぐれるよ。

 あと、食感や風味も大事。同じ肉でも「生」「茹で」「焼き」なら、圧倒的に焼いた肉がお好みだよね。「生肉は酵素が摂れるからいい」と言われ、馬刺しをあげてみたけど、口に入れて速攻吐き出していた。でもマグロやブリの刺身は食べるんだ。謎……。キロ単位で買った馬肉はもったいないので、仕方なく焼いて与えたら上機嫌で食べた。こうなると酵素もへったくれもない。ただの焼肉パーティーだ(怒)。

 愛犬の食へのこだわりに翻弄され、ぶつくさ文句を言いながらも、実は飼い主ってその「ご奉仕」が結構楽しかったりするんだから、これまた不思議な関係でもあるわけで。では早速、3件の読者宅での食のこだわりを拝見することにしよう。

はなの場合

 代々柴犬と暮らしてきた脇田家の4代目。飼い主さんいわく「犬はゴハンを出せばすぐに食べるイメージがありましたが、はなは食べたい時にしか食べません」体重は10kg台後半。広い庭で穴を掘ったり走る回ったりするから結構筋肉質♥


ボーロ? 魚? 茹でた野菜?そんなの興味ないね

 脇田家の食の悩みは、はながフードを毎日コンスタントに食べてくれないこと。朝ゴハンが夕方まで残っていることもあるそう。でも全部食べることもある。よく食べる時はドッグランや親戚の家に遊びに行った日の夜。

「肉系のオヤツは好きです。でもボーロや魚系はすぐに飽きます」

 ちなみに、茹でたキャベツやニンジンをあげたこともあったが、食べなかったそう。また、他人からもらう肉系のオヤツは食べるが、ビスケット系は一度食べてから吐き出すことも(汗)。

 飼い主さんの近所付き合いとかもあるし、そこら辺少し考えてあげてね。

 そして、ここにもいました! 食べ物を隠すタイプ。

「以前は骨ガムをあげていましたが、隠してしまうので今はあげてません」

 やっぱり日本犬は貯食行動をする犬が多いなぁ?と実感。また、以前脱走した時にオヤツで釣って、もう片方の手で首輪をガッと掴んだ時から、「脱走事件以来、オヤツをあげようとして近寄るのに、何か裏があると思うのか、執拗にオヤツを持っていない方の手を警戒します」

 あぁ、食いしん坊なのに、疑心暗鬼。いかにも日本犬らしくて、素敵!

ハチの場合

 現在体重は8.7kg。加藤さん母娘にそっくりなスリム体型。ここ数日オテを練習中。そのココロは「散歩中によその人に会うとなぜか必ずオテと言われるので」とのこと。とにかく頑張れ~!


トッピングだけ食べてゴハンは残すことも

 加藤家に来て最初の3ヶ月で、すでにオヤツのボーロに食べ飽きていたというハチ。朝あげたドライフードが1日中残っていることもよくあるそう。特にドッグランなどで遊んできた日は、睡魔の方が勝つらしく、「目の前にゴハンを置いても、ちらっと見てまた寝てしまうことも」

 食べ方の面白いこだわりもあって、例えば牛皮ガムは両端の丸い部分だけ食べて、真ん中の棒状の部分は残すのだそう。ん?、謎だなぁ?。

 あまりにも食べず、生後6ヶ月頃から最近まで、月に2~3回吐くこともあった。とにかく食べないことが心配なので、加藤家ではフードにヨーグルトや市販のササミのふりかけなどをかけて食べさせている。でも器用にトッピングだけ食べてフードを残すこともあるらしい。なかなか手強いのだ。

「私がピーマンが嫌いなので、毎日出されたら嫌だな?と思うんです。だから、ハチにも嫌いなものはあまりあげたくないんですけどね」と娘のれいらさん。ちなみに加藤母娘は野菜がイマイチ苦手。好きなものはパンやお肉なのだそう。ハチの気持ちに寄り添いながら、食の細さに関してはいまだ心配が絶えない加藤家なのだ。

りょうまの場合

 現在11kgでベストな体重。食欲は旺盛。でもアレルギーがあり、食べ物にはいろいろと気を遣っている。「ごちそうさま」という言葉が出ると、さっさと自分のベッドに行くあきらめの良さも。


何かもらえないと、うなだれて座っていることも

 食べたい時は、くれそうな人をじっと見つめたり、手をかけたり、かわいらしく鳴いたりと、おねだり上手のりょうまだが、現在はアレルギーが少し心配な滝口家。

「去年の春先に、くしゃみをよくするな?と思って動物病院で血液検査をしてもらったら、アレルギーがあることがわかりました。それまでは普通のフードを食べていましたが、今は処方食を食べています」と飼い主の宏子さん。

 たまにマズルがかゆくなるのか、芝生の上で遊んでいる時に、芝に顔をこすりつけて血が出てしまうこともあるそう。油断は禁物なのだ。宏子さん、母の悦江さん、単身赴任のご主人と息子さんの5人家族の滝口家。りょうまがかわいくて、それぞれがオヤツを買ってきたりしていて、土日はつい多めにあげがち。だから、土日のゴハンは少なめにして気をつけている。

「家族がご飯やお菓子を食べながらテレビに夢中になっていて、りょうまに構わなかったりすると、もらえないことが悲しくて座りながらうなだれていることがあります」と宏子さん。そっかぁ?、うなだれちゃうのかぁ?。そーゆー、奥ゆかしいところに、柴犬の飼い主ってグッときちゃうんだよね。

今まで食べていたのに食べなくなったら要注意

 あ?、本当に食へのこだわりって十犬十色。そして、それに付き合う飼い主さんの深い愛情を感じた次第。

 ただ、個人的な経験からだが、フードを変えた時はその食べ方に注意が必要かも。実は我が家の場合、今まで食べていたフードが製造中止になったので、この夏新しいものに切り替えたんだけど、なんかまる子の食いつきが悪かったんだよね。あげてもすぐに食べない。無視してると、仕方なく半分食べてまた残す。で、1~2時間後にあきらめて全部食べる感じ。貧乏飼い主としてはせっかく買った高くて無添加のフードだから、多少食いつきが悪くても食べてくれ?という思いで、1ヶ月与えていたら、体臭がきつくなって頭がハゲてしまったのだ。値段や他人の評価やパッケージの宣伝文句がいくら良くても、自分ちの愛犬の体に合ったものを食べないとこうなるのかぁ、と勉強になった。案外、まる子自身は「このフード、私の体には合わねーよ」と感じていたのかもしれない。食わず嫌い=わがまま、と一概にも言えないのだな?と思った一件だった。癖や嗜好、グルメさんの場合はさておき、今まで食欲があったのに「なんか食べない」「体に何となく変化が出てきた」と感じたら、迷わず動物病院へ行って、現在食べているものも獣医師と一緒に再考するのも大切だと思う。

 愛犬の食へのこだわり、時には飼い主も一緒に楽しみながら、そして細心の注意を払いながら、温かい目で見守ってあげてほしい。

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