ひっかき事件で思い出す 遠い日の猫とナオちゃんのお母さん

遊びとこたつが大好きなあんず
遊びとこたつが大好きなあんず

 2匹の猫を飼い始めて5~6年経った私ですが、ひっかかれた経験は3回ほどになります。


 前回は、その1回目と2回目について書きましたが、今回はそのお話の続きです。


 3回目の“ひっかき事件”は、つい先日の出来事でした。


 サビ猫・あんずに、ヒモの先にねずみのおもちゃがついているものをけしかけて遊んでいたときのことです。


 ヒモを右左にササ―っと動かすと、ネズミを追って大ハッスルのあんず。部屋を走りまくって息が上がり、お疲れモードになってきたので、私の視線はあんずからテレビへ移ってゆきました。


 ネズミのおもちゃを手にぶら下げたまま、ぼんやりテレビを見ていると、いつの間にかあんずが復活していたのか、再度ネズミめがけて突撃!のはずが…。


「ニャー!!!」と、ネズミを飛び越して、木に飛びつくような要領で私の太ももに爪を立ててつかまろうとするあんず。


 あんずの爪がガッチリ太ももに引っかかり、ザザーっと下方向にこすれました。


「いったーーい!!!」と叫ぶと、あんずは「ヤベっ」とばかりに、キッチンの物陰へ走り去ってゆきました…。


 いくら私の太ももが丸太のようだからって…。薄手のスウェットを着ていたおかげで、深くは傷つきませんでしたが、少し流血。太ももには長さ20センチほどのひっかき傷ができました。


 あんずは傷の消毒をする私を物陰から見守り、マズイ事態を察知したのか、そのまま遊びは終了となりました。


 猫が“獲物”を追っているときは、気を抜いてはいけない。これが教訓となりました。


 こうして、3回ほど我が家の猫様にひっかいていただきましたが、こっちにも原因があったり、猫がパニック状態だったり、やむを得なかったことばかり。


 猫を飼う前は「猫はひっかくから嫌。怖い。」と思っていたけれど、猫は理由なしにはひっかかないということも分かりました。


 そもそも、猫=ひっかくというイメージがついたのは、小学校低学年の頃でした。


 近所に住むお友達のナオちゃん家には、猫が2~3匹いました。ナオちゃんのお母さんの腕はいつもひっかき傷だらけで、「ちょっと猫にね~」と笑って話していました。ナオちゃんも、お母さんほどではないものの、たまに傷を作っていました。


 傷だらけなのに、なんで笑っていられるんだろう。猫って、飼っているだけで傷だらけになるなんて怖すぎる…と、猫嫌いに拍車がかかってしまったわけですが、今ならその理由はなんとなく推測できます。


 ナオちゃんちの飼い猫は元野良で、人に慣れていない状態だったのかも。


 猫になんとかして薬を飲ませる必要があったのかも。


 野良猫を保護する活動をしていて、人慣れしていない猫に近づこうとしたのかも。


 とにかく、ナオちゃんのお母さんと猫の間には、何らかの事情があったのでしょう。


「ちょっと猫にね」では、猫を飼ったことのない小学生の私には、理解できなかった。ナオちゃんのお母さんが説明してくれれば、私だって猫が人を攻撃する気がまんまんじゃないことを分かったはずです。でも、お母さんは「ひっかく理由を話すと、かえって子どもが怖がる」と思ったのかもしれない。


 今、もしナオちゃんのお母さんに会うことができたら、当時の猫の話をしてみたいと思っています。


(ヤスダユキ)

sippo
sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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猫アレルギーですけど
普通の家で飼われている猫「あんず」と「モモ」。飼い主の主婦が、2匹との生活や発見をユニークな視点で切り取る人気連載です。
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