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藤村かおり・sippo|更新|2017/06/10

体重10キロ、巨大な猫 島から来た「島男」、家族に幸せを呼ぶ

 
仲良し「きょうだい」時生君、幹生君、島男
仲良し「きょうだい」時生君、幹生君、島男
 伊豆諸島・新島で生まれた子猫が、高速船に乗って東京・竹芝桟橋に着いたのは8年前。都内の夫婦に引きとられて、「島男」と名付けられた。健やかにぐんぐん育ち、規格外の大きさになった。気は優しくて力持ち? そんな猫に会いに行ってみた。

 

 (末尾に写真特集があります)

 
 東京都多摩市の3LDKのマンションが、島出身の雑種の猫「島男」(♂・約8歳)の住まいだ。40代の小島文彦さん、和美さん夫妻と、小学1年生の双子の男の子と、ビーグル犬の「富男」(♂・4か月)と暮らしている。


 玄関を開けると、双子の兄弟が元気よく迎えてくれた。

 

「シマちゃん会いに来たのー?」

 

「こっちにいるよー」

 
 その後ろを、ドドドドーッと、大きな猫が横切る。なんと、体重は堂々10キロ、頭から尾の先までは85㎝。

 

手前にいるため若干強調されていますが・・大きい! 体重10㎏の島男と幹生君(昨年)
手前にいるため若干強調されていますが・・大きい! 体重10㎏の島男と幹生君(昨年)

 

「『うわーデカい』『フツーの猫?』とかよく聞かれるのですが、私たちには初めての猫なので、平均より大きいのか、正直わからないんです」と、和美さんが笑う。

 

 島男との出会いについて聞いてみた。


「私と主人は東京出身で、結婚したのは11年前。すぐに子どもができなかったこともあって、猫を飼おうということになりました。周りに猫と暮らす人が多く、可愛いなと思うことがよくあって。そんな時に、『猫が生まれたけどどう?』という話が舞い込んだんです」


 島男は2009年6月、新島にある仕事仲間の親戚の家で生まれた。携帯電話に送られてきた生後まもない猫の写真を見て、和美さんはすぐに「うちの子にしたい」と思ったという。ドキッとするような“イケメン猫”だったのだ。


「トントン拍子で話が決まり、生後1か月を過ぎた頃、飼い主さんが高速船で東京まで連れてきてくれました。今思えば、体は小さいのに、手(前足、後ろ足)が大きかったかも?」


 ただ、当時夫婦が住んでいたのは賃貸マンション。最初は内緒飼いをしたが、半年後、思い切ってペット可のマンションを買って引っ越した。甘えん坊でちょっとシャイな島男を、夫婦は可愛いがった。島男はみるみる大きくなった。

 

 島男を迎えて10か月後の5月、和美さんは島男の故郷・新島を訪れた。「無事に育っています」と、お土産を持って挨拶に行ったのだ。その時、島男と一緒に生まれた兄弟猫は“標準サイズ”だということがわかった。


「うちの子だけ特別に大きい、やったねって感じでした(笑)。島男が育った自然あふれる島を満喫して東京に戻ったら、なんと、妊娠が判明したんです。しかも双子」


 夫婦にとって念願の赤ちゃん。でも、家では島男が「長男」だった。たとえ双子の子育てが大変になっても、猫と離れ離れになる考えはなかった。

  

島男と、時生君 (赤ちゃんの時)
島男と、時生君 (赤ちゃんの時)

  

 ところが、双子が生まれる寸前に、思いがけないことが起きた。島男が血を吐いたのだ。


「実は島男には、前から布を食べる癖があって。紐、タオル、ハンカチ、服、何でもかじっちゃう。それがお腹にたまって炎症を起こしたんです。(出産前の)パンパンのお腹で、島男を動物病院に運び、緊急開腹手術を受けさせました」


 島男の炎症は収まったが、布への関心は止まない。甘えん坊の島男が、突然の赤ちゃんの出現をどう受け止めるだろうか。そして、2011年1月、出産の時を迎えた――。


「島男に、ベビーベッドに寝る2人の赤ちゃんを見せて、『新しい家族よ、仲良くしてね』と言いきかせました。島男は最初、『この同じ顔をした生き物は何だ?』という感じで、オドオドしていましたが、すぐに慣れました。でも、島男のほうが赤ちゃんより大きいので、いつも注意していました」


 双子が生まれて、家には衣類などものが増えた。和美さんは、いたずらされないように、普段島男がすごす居間の片づけを徹底し、各部屋のドアノブを「縦型」に変えた。体が大きな島男は、通常の横型のドアノブだと、自分で開けて入ってしまうからだ。


 そんな心配をよそに、島男は予想以上に穏やかに双子に接し、優しく傍らに寄り添った。まるで“兄弟”のように、島男も双子も成長していった。

  

寝る子は育つ・・
寝る子は育つ・・

 

「大人になるにつれて、布への興味はだいぶ減ってきましたが、子どもたちには『シマちゃんがかじるから、服片付けなさい』といつも言っています。ときどき片づけないで注意されるよね?」

 

 ママが尋ねると、幹生君と時生くんが、説明してくれた。

 

「学校いってる間に、シマちゃんがタオルに穴をあけたりするんだ」

 

「でもこのひと(猫)、オレよりも、いっこ年上。お兄ちゃんなんだぜ」

 

 猫も、人も、隔てのない、みんな一緒の子育てなのだ。そんな一家に、先月、また新たな家族が仲間入りした。犬の「富男」だ。

 

「アウトドアで遊ぶのに犬もいたら楽しいね、と前から家族で話していたんです。島男のフードを買いにペットショップにいった時、ちょっと大きくなったビーグルがいて。誕生日を見たら、時生と幹生と同じ日だったんです」

 

 頭から額にかけて、猫の姿のような模様もあった。その犬に運命を感じ、飼うことを決めたという。家では犬はまだ幼いのでケージで過ごし、島男は傍で、ゆったりと見守っている。

 

「富男がケージにいても、島男は高い棚に乗るようになりました。オレのほうが上だってアピールしているのかな。いずれは体の大きさが逆転するかもしれないので、島男の居場所、逃げ場はしっかり確保してあげたい」

 

 双子と、猫と、犬と……。にぎやかな一家の物語は、ずっと続いていく。

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賑やか小島家。左から文彦パパ、犬の富男、幹生君、時生君、和美ママ、猫の島男
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出典:sippo
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藤村かおり

藤村かおり(ふじむら・かおり)

ペットライター。小説等の創作活動を経て90年代後半から、ペットの取材を手掛ける。2011年~2017年週刊朝日記者、2017年からsippoメインライター。丹念な取材と独自の目線から、動物と人の絆、動物と共に生きる人の心をすくい取る記事に定評がある。ペット関連の著書に『長寿猫』『明日にアクセス』など。現在は保護した黒猫、キジ猫と暮らす。


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