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佐藤陽・sippo|更新|2017/09/22

道路の真ん中でふるえていた子猫ジャッキー、居合わせた人々の「連係プレー」で奇跡の救出!

現在のジャッキー(左)。右は弟猫「きなこ」
現在のジャッキー(左)。右は弟猫「きなこ」

 自宅近くで出会った赤ちゃん猫。とっさに車から降りて保護しようとしたら逃げてしまい、姿を見失います。てんやわんやの末、無事に家族に迎えた「ジャッキー」。後輩猫「きなこ」も加わりました。オス猫2匹と家族4人のあったかい日々をつづります。

 

(末尾に写真特集があります)

 

 2015年8月17日夜、僕の携帯電話が鳴った。妻からだった。


「あのさ-、今日道路で子猫を拾ったんだけど……、しばらくうちで預かってもいい?」


 妻の悲痛な声に、僕は思わず「うん、いいよ。かわいがってあげてね」と答えていた。


 妻は、安心した声で「うん。ありがとう」と言って電話を切った。


 そのとき、わが家には既に15歳のオス猫「ソマ」がいた。でも、独身時代からずっと猫を絶やしたことがなかった妻。猫への愛情は並々ならぬものがあった。


 当時、僕は横浜勤務のため単身赴任していた。週末、さいたま市の自宅に帰り、子猫と対面した。片手にスッポリ入る大きさ。体は黒っぽい、しましま模様。オスの雑種で、種類は「キジトラ白」。正直「不細工な猫だなあ」というのが第一印象だった。


 これが「ジャッキー」との出会いだった。


 では、どんな救出劇があったのだろう? 妻に「取材」してみると、いくつかの偶然が重なっていた。妻の話を元に、そのときの状況を再現すると――。

 

救出して間もないジャッキー。長女のノートの上にどっかり。
救出して間もないジャッキー。長女のノートの上にどっかり。

◆渋滞を覚悟で、子猫の大捜索!


 その日の午前、受験生だった長女を妻が車で塾に送りに行くときのこと。ほぼ毎日送迎していたが、その日はたまたま授業が1時間遅れだった。


 自宅を出てまもなく、すごい渋滞でなかなか前に進まない。「何の渋滞だろう?」。前をよく見ると、みんなセンターラインを越えて「何か」を避けている。


 自分の番が来て前を見ると、小さい赤ちゃん猫が……。


「あ、ひかれてる?」


 いや、よく見ると、動いている!


 妻は渋滞になるのを覚悟して子猫の前に停車した。その動きに気づいた後続車も、妻の車の後ろに停車してハザードランプを点灯させた。そして交通整理を始めてくれた。


 妻はとっさに車から降りて、猫を拾い上げようとした。すると子猫はびっくりして、車の下に走って逃げてしまった。


 反対車線の車は、何ごともなかったかのようにビュンビュン走っている。猫が飛び出してひかれはしないか、気が気でならない。その道路は「産業道路」と呼ばれるほど交通量が多く、トラックや商業車も多い。


 確かに妻の車の下に逃げ込んだのだが、どこを探しても見当たらない。そのうち騒ぎに気づいた歩行者の女性や、学生らしき男性も参加して、「子猫の大捜索」が始まった。車の下を中心に探したが、見つからない。まるで神隠しにあったようだった。


 後続車の男性が「もしかしたらエンジンルームに入ったのかもしれませんよ。エンジンに巻き込まれてしまうかもしれないので、あまり車を走らせない方がいい」と助言してくれた。


 幸いにも目の前には、いつも利用するガソリンスタンドがある。協力してくださったみなさんにお礼を伝え、ガソリンスタンドに車を移動させた。


 スタンドの従業員がバンパーを開けてのぞき込む。すると、エンジンルームの下の方にある棒に、子猫がちょこんと乗っかっていた。キョトンとした顔でこちらを見ている。


 従業員やスタンドにいたお客さんが、手を突っ込んだり、棒でつついたりしてみたが、全く動く気配はない。ついに従業員がジャッキで車体を持ち上げ、車の下に入り込んだ。


「ギャーー」。


 抵抗をしていたが、あえなく「捕獲」。抱き上げようとしても、恐怖や興奮で「フー、フー」と威嚇してくる。


 さて、どうしよう……。道端に置いてきたら、また道路の真ん中に出るかも知れない。結局、家に連れて帰ってきた。


 以上が、「救出劇」の一部始終だ。妻1人の力だけではなく、たまたまその場に居合わせた多くの方々の「善意」が、ジャッキーの命を救ったのだった。この日は、たまたま出発が1時間遅かったが、通常の時間だったらジャッキーと出会えていなかったかもしれない。

 

 

◆怖いもの知らずで「先住猫」に近づく


 さて、自宅に連れて帰ってきたはいいが、先住猫「ソマ」がいた。僕も妻も2匹を飼うことは全く考えていなかった。


 そもそも、急に子猫を連れてきたらソマがかみ殺してしまわないか、心配だった。飼い主が見つかるまで、とりあえず保護しようということになった。


 妻は以前読んだ本に、「先住猫と新しい猫の相性を見るために、別々の場所に隔離し、お互いに『違う猫がいるぞ』と存在を意識させるところから始めた方がよい」と書いてあったのを思い出し、その通りにした。「見た目にかわいい子猫をかわいがりがちだが、先住猫を意識してどんなことも優先的に接するように」とも書いてあり、それも実践した。


 自宅はマンションで4LDK。先住猫はリビングやダイニングに放し飼いにして、子猫は長女の部屋のケージに入れることにした。


 でも子猫は小さすぎて、ケージの柵をくぐり抜けてしまう。そして怖いもの知らずで、ソマに何度でも近づいていった。そのたび僕たちが連れ戻し、2匹の距離を置くようにした。


 数日後から、お互いに短時間ずつ「対面」させ、臭いをかがせた。最初は、2匹とも「シャー」と言って、威嚇し合った。徐々に慣れてきたように見えた。


 長女も次女も「かわいい。うちで飼おうよ」と言い出した。娘たちがそう言うなら、親は逆らえない。結局、わが家で飼うことになった。


 こうして子猫は、佐藤家の一員になった。で、なぜ名前が「ジャッキー」になったかって? 賢明な読者のみなさんなら、わかりますよね?

 

ジャッキー(手前)&きなこ
ジャッキー(手前)&きなこ
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ソファでスヤスヤ
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出典:sippo
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佐藤陽

佐藤陽(さとう・よう)

1967年生まれ。91年朝日新聞社入社。大分支局、生活部、横浜総局などを経て、文化くらし報道部(be編集部)記者。医療・介護問題に関心があり、超高齢化の現場を歩き続けてまとめた著書『日本で老いて死ぬということ』(朝日新聞出版)がある。妻と娘2人、オス猫2匹と暮らす。妻はK-POPにハマり、大学生と中学生の娘たちも反抗期。慕ってくれるのは猫の「ジャッキー」と「きなこ」だけ。そんな日々を綴ります。


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