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佐藤陽・sippo|更新|2017/10/13

「子猫ストレス」で、おじいさん猫ソマの心が壊れる?! 家族が考えた愛情作戦とは

「あー、ジャッキーがやっと寝た……」ほっとする先住猫のソマ(左)
「あー、ジャッキーがやっと寝た……」ほっとする先住猫のソマ(左)

 14年間、わが家で「一人天下」だったオス猫ソマのもとに突然、子猫のジャッキーがやってきました。若くて元気なジャッキーは、老猫ソマを追いかけ回します。最初はかわいがっていたソマもジャッキーから逃げるように。ソマの心は徐々にストレスにむしばまれていきました…。

 

(末尾に写真特集があります)

 


 

 2015年8月、自宅近くの道路で救出したオスの赤ちゃん猫ジャッキー。結局、うちで飼うことにした。


 だが、わが家にはすでに先住猫のソマ(ソマリ)がいた。最初は2匹を引き離そうと、ジャッキーをケージの中に「隔離」したが、いつまでもそうするわけにいかず、徐々に対面させて慣らしていくことにした。


 ジャッキーは、ソマを親と勘違いしているのか、行くところ、行くところ、あとをついてまわる。ご飯の時、寝る時、時にはトイレにも。まるで孫がおじいちゃんにくっついてまわるように……。小さいジャッキーは、ただぬくもりがほしかっただけなのかもしれない。


 最初はソマも、ジャッキーを疎ましく思いながらも「祖父心」が芽生えたのか、それなりに可愛がっていた。しかし、ジャッキーが成長して体力がついてくると、じゃれる相手から、いつしか「兄弟げんか」の相手となった。


 子猫にとって、じゃれて遊ぶこともけんかをすることも、「社会性」を身につける大事なこと。じゃれることは獲物を狩るための初歩的な技術の練習。兄弟げんかは自分がかまれた時の痛みや、どれぐらいの強さでかめば相手に痛みやダメージを与えるかを学ぶ機会だ、と知り合いの獣医師に聞いた。


 その兄の役目を老猫ソマが担うには、負担が大きすぎる。おじいさんソマはジャッキーから逃げ回るばかりになった。

 

 

◆鼻が傷だらけになっても攻撃

 あっという間に赤ちゃんから「少年」に成長したジャッキーは、高齢でやせているソマの体を容赦なくガブリ!「ギャー!」。


 しばらくすると、また「ギャー!」。あれ? 違う声の悲鳴だ。


 やさしいソマも、しつこいジャッキーに堪忍袋の緒が切れたようだ。ついに反撃に転じたのだ。鼻をガブリ、ガジガジ~~! さすが、亀の甲より年の功。


 鼻が傷だらけになったジャッキーの顔は痛々しく、日に日に鼻のまわりがピンクに腫れてきた。それでもジャッキーの攻撃は止まらなかった。

 

ソマに「反撃」され鼻が傷だらけになったジャッキー
ソマに「反撃」され鼻が傷だらけになったジャッキー

 ジャッキー登場から1カ月ほどたったある日、ソマについに「異変」が起きた。飼い始めてから粗相を一度もしたことがなかったのに、トイレ以外のあちこちでオシッコをするようになった。至るところに新聞を敷いたが、イタチごっこ。ソマには申し訳ないけれど、オムツをしてもらうことにした。


 猫って尿路結石になるとも聞く。もしかして……?


 しかし病院に連れていくと、獣医師から「ストレスが原因です。安定剤を少し出しますが、とにかく慣れさせるか、別々の部屋で飼うかのどちらかしかありません」と言われた。明らかに原因はジャッキーだった。

 

 

◆愛情たっぷり、「先住猫ファースト」で

 その日から家族総動員でソマに気をつかった。


「ソマ、ソマー♪」「ジャッキー、だめ!」


 ソマは王様のように大切に扱われ、今まで以上に可愛がられた。そして大好物の缶詰やおやつをいっぱいもらい、ごきげんに。


 特に、4歳ごろからずっとソマがそばにいた長女は、彼の気持ちを第一に考えてくれた。学校から帰ってくると、一番に「ソマー」と呼びかけ、抱きついた。次女も、学校に行く前、必ずソマと一緒にソファに寝転びながら、なでなでした。勉強するときも、ソマを呼び寄せた。家族の声かけと愛情たっぷりのスキンシップで、ソマの心はゆっくりと安心感を取り戻したようだった。


 たまたまジャッキーも落ちつき始める時期だったのか、戦いを挑むことも徐々に減り、1カ月ほどでソマはオムツを取ることができた。いつしか、ソマがジャッキーを包み込むようにして2匹で眠る光景もみられるようになった。ソマのストレスが完全になくなったわけではないが、徐々にやわらいできたようで、僕らは少しだけほっとした。


 2匹がいっしょに暮らしたのは、ほんの1年ぐらい。ソマの最晩年、若いジャッキーがよりそっていた姿が、家族みんなの心に今も残っている。

 

ソマ(奥)がジャッキーを包み込むように昼寝
ソマ(奥)がジャッキーを包み込むように昼寝
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ソマ(右)とジャッキーも、時々こうして「休戦協定」
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出典:sippo
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佐藤陽

佐藤陽(さとう・よう)

1967年生まれ。91年朝日新聞社入社。大分支局、生活部、横浜総局などを経て、文化くらし報道部(be編集部)記者。医療・介護問題に関心があり、超高齢化の現場を歩き続けてまとめた著書『日本で老いて死ぬということ』(朝日新聞出版)がある。妻と娘2人、オス猫2匹と暮らす。妻はK-POPにハマり、大学生と中学生の娘たちも反抗期。慕ってくれるのは猫の「ジャッキー」と「きなこ」だけ。そんな日々を綴ります。


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