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「動物看護師」を養成するヤマザキ学園大 ペットと共に幸せに暮らす社会めざして 倫理教育を重視


 3月28日午前。ヤマザキ学園大(東京都八王子市南大沢)の一室で、動物臨床栄養学のゼミ生5人が実習をしていた。体の弱った犬にどう食事をあげるか。「いい子だねえ」。声をかけながら、「弱った犬」役の元気な犬の口に流動食を運ぶ。現在4年の中西絵梨奈さん(21)は「実際にやると、イメージが持てる。就職後に役立ちますね」。


 中西さんがこの大学に進んだのは悲しい経験が発端だ。広島市の実家で親子3匹の犬を飼っていた。小学5年の時、老衰などで相次いで死んだ。ただ悲しい中にも、亡きがらを手厚く扱うなど家族を思い、いたわってくれる動物病院の姿勢に、救われた思いもした。


「ペットと飼い主の間に立って、両方をケアできるような仕事をしたい」。当初は獣医師を考えたが、高校時代に動物看護師の存在を知り、同大に進学。現在は就職活動中だ。「飼い主さんの不安に寄り添う動物看護師になりたい」

 

 

■動物看護師を養成

 同大は、愛犬家の山崎良寿氏(1919~90)が、67年に渋谷区の自宅で始めた私塾が起源。創立30周年記念誌などによると、当時はペットブームの一方で無責任な飼い方をする人も多く、「犬のスペシャリストを育てたい」と考えたという。


 94年に学校法人の認可を受け、渋谷区内に専門学校「日本動物学院」を開校。2004年に八王子市に短大を作り(12年に閉学)、10年に大学を開学した。国内唯一の「動物看護学部」を持つ単科大で、動物看護師を目指す「動物看護学専攻」と、動物関連産業などへの就職が多い「動物人間関係学専攻」に計約700人が在籍。18年には「ヤマザキ動物看護大学」への校名変更も予定している。

 

 

■「ペットロス論」も

 大学では技術に加え、共生の思想や倫理観の教育を重視する。2年次は「生命倫理学」が必修。ペットを亡くした人の理解者を目指す「ペットロス論」や、人と動物との関わりを文化面から考える「動物文化論」などの授業もある。


 重要なのが、実習を支えるペットたちだ。飼い主から借り、実習に使わせてもらう「モデル犬制度」があり、現在の登録数は約3500匹。協力する飼い主の加藤涼子さんは「健康チェックやシャンプーもしてもらえる。何でも教えてもらえるし、本当に助かっています」と話す。


 将来の目標が明確な学生も多いという。4年の志村香さん(21)は、在学中に動物と触れ合う機会をより多く持とうと、動物病院とハリネズミとのふれあいを楽しむカフェの二つのアルバイトを掛け持ちする。「動物看護師になった後、より目配りが利くように今から経験を積んでいます」


 人間とペットの関係が近い一方、ストレスを多く抱える現代。ペットの気持ちや心を理解することが、共生には大事だと、小方宗次学部長(72)は説明する。


「動物が好きで入学する学生は多い。ただ相手は生き物。『好き』だけではつらい場面もある。好きを土台に職業人としての『やりがい』に育てる。これが大きな使命と考えています」


(川見能人)

 

ヤマザキ学園大動物看護学部の小方宗次学部長
ヤマザキ学園大動物看護学部の小方宗次学部長

■私の理想図 相互理解で幸せな社会へ 小方宗次・学部長

 ペットが活躍する場をもっと増やしていきたい。ただ、現代は人にもペットにもストレス社会で、それが時に両者の関係悪化にもつながってしまう。卒業生が媒介となることでお互いの理解が一層深まり、人とペットがより幸せに過ごせる社会を築きたいと思う。