凍る水槽、まぼろしの魚……山の中にある「北の大地の水族館」

「滝つぼ水槽」を力強く泳ぐオショロコマ
「滝つぼ水槽」を力強く泳ぐオショロコマ

 先日、夏休みを利用して道東旅行に行きました。 前回のコラムで野生動物との出会いを今回のコラムで書くと申し上げたのですが、写真の整理が間に合いませんでした。そこで今回は、旅の最後に訪れた、LINE風やポケモンGO風の魚の紹介がウェブ上で話題になった「北の大地の水族館」について書きたいと思います。

 北の大地の水族館は、道の駅「おんねゆ温泉」の一角にあります。住所は北海道北見市ですが、北見市の中心部からは車で1時間ほど離れた場所にありました。北見観光協会ウェブサイトによると、北見市はタマネギの生産量日本一とのこと。広大なタマネギ畑を見ながら水族館に向かいます。

 この水族館は2012年7月にリニューアルオープンしました。

 来館者数の減少や建物の老朽化から存続の危機にあったものを低予算でリニューアルした水族館。リニューアルの結果、1年間で30万人もの来館者数という人気になった水族館。「日本一」と「世界初」がある水族館。アクセスが便利な場所ではないけれど人気がある水族館。水族館だけど山の中にある水族館……。私は当時、札幌市内に住んでいましたが、そんなふうにメディアで非常に話題になり、ずっと行きたいと思っていたのです。

 というわけで、北の大地の水の水族館には「日本一」と「世界初」があります。イトウという魚をご存じでしょうか? 日本で最も大きい淡水魚で、その成魚の大きさは1メートルを超えます。現在では北海道の一部でしか生息が確認されていないことから“幻の魚”とも呼ばれています。この幻の魚、イトウの飼育数が日本一なのです。その数、約20匹。

 では「世界初」は何かというと、凍る水槽です。この地域は冬になるとマイナス20度にもなる寒い地域です。屋外に北海道の川を再現した「四季の水槽」では、厳寒時には川の水が凍るので、凍った川の下を泳ぐ魚をみることができるそうです。訪れた日は大雨の後でしたので、水槽が濁っていました。いつでもありのままの姿を見ることができます。

 実は「日本初」もあります。それが滝つぼを下から見上げる「滝つぼ水槽」です。水槽には、勢いよく滝が流れ落ち、その勢いが作り出す白い泡が青い水の中に広がります。その中を、イワナの仲間であるオショロコマが力強く泳いでいました。

 そのほか、タイミングが合わなくて見ることはできなかったのですが、生きた魚を生きた魚が捕食する「いただきますライブ」というものがあります。「生きるとは他の命をいただくコト」と館内に案内のパネルがありました。同館のニュースリリースによると、命に感謝する食育プログラムでもあるそうです。

 旭山動物園が取り入れ、その後、多くの動物園にも取り入れられている「行動展示」ですが、この水族館では、自然に近い魚の姿を見ることができ、生命の力強さを感じました。それと同時に、上記のLINE風やポケモンGO風の解説といったたいへん面白い試みだけではなく、館内には飼育員さん手書きの解説板がたくさんあり、温かさも感じます。凍る「四季の水槽」を見に、ぜひ冬にも訪れたいと思います。

ポケモンGO風の解説が話題になっている
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