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イヌとネコの「こころの診療科」より

村田香織・sippo|更新|2016/11/15

第39回 「こねこ塾」で伝えたいこと② 猫は本来ハンター、かみつかれても「応戦」しないで

猫の時からきょうだい2頭で飼うのがおすすめ
猫の時からきょうだい2頭で飼うのがおすすめ

 €子猫を1頭だけで室内飼育すると、ほとんど間違いなく飼い主をかむという問題が起きます。猫は根っからのハンターで、動くものを追いかけ捕まえるという習性が強い動物です。野生のネコ科動物は子どもの時期に、将来の独り立ちのために狩りの技術を磨きます。また猫はもともと縄張りを持つ動物なので、将来は他の個体から自分の縄張りを守らなければなりません。小鳥や昆虫などを追いかけて狩りの練習をしたり、きょうだいと遊びながら、将来、交配相手を見つけたり縄張りを守るために必要な、猫どうしのコミュニケーション技術を磨くのです。

 €ところが室内で1頭だけで飼われている猫にとって、動く生き物は飼い主だけです。動くものに反応して狙いを定め、素早く飛びついてかむのはごく自然な子猫の遊び行動で、ある時は飼い主をきょうだい猫に見立て、ある時は獲物に見立てているわけです。これらの行動は本来であれば生きていくためにとても重要で、消し去ることはできません。そのため1頭だけで飼われている子猫が飼い主を狙うのは、ある意味、しかたのないことです。

 €猫が屋外と家を行き来し、自由に外で走り回ったり、虫や小鳥を追いかけることができた時代には、このような問題はありませんでした。しかし現代の日本では猫を安全に屋外に出せる地域はほとんどなく、交通事故や野良猫との闘争による外傷、伝染病などを考えれば、外に出すのはリスクが大きすぎます。また屋外に出る猫は通常自宅外で排泄するようになるため、近隣とのトラブルの原因にもなります。したがって猫は室内飼育すべきですが、飼い主がかまれないようにするためには、室内でも外に出た時に得られるような刺激を与える必要があります。

 子猫がやんちゃすぎるからとケージに入れっぱなしではますますエネルギーがたまる一方で、ケージから出した時により興奮するようになります。エネルギーが余って起きる問題は、抑え込むばかりではいずれどこかで爆発してしまうのです。適切な発散の機会を与えなければ根本的な解決にはなりません。猫のニーズのところでお話ししたように、猫にとって必要な上下運動をするスペースや、安全に外界を感じることができる場所や隠れることが出来る場所などを提供し、おもちゃでしっかりと遊んであげる必要があります。また下記のことに注意して子猫に接するようにしましょう。

①手足を使った遊びをしない

 猫がかんで困っているという人は、無意識に手や足を動かして猫を遊びに誘っていることが多いものです。わざと手や足を動かして猫と遊んだり、意図的でなくとも猫にかむ機会を与えることは、猫をかむように教育していることと同じです。手足を使って猫と遊ばないように注意しましょう。

②おもちゃを使って十分に遊ぶ

 手足以外のおもちゃを使った遊びはどんどんさせましょう。しっかりおもちゃで遊ぶと人を狙う頻度は減ります。手を狙っている時にもおもちゃの方に誘うなどして十分遊んでエネルギーを発散させてあげましょう。

③人の手足に来たときには止まる、隠す、立ち去るなどして相手にならない

 猫がかんできた時に、応戦してはいけません。大げさな動きで逃げたり、叱るつもりでたたいたりするのもよけいに猫を興奮させてしまいます。猫が狙っていると気づいた時にも、立ち止まったり手を隠すなどしてかまれないようにしてください。おもちゃを投げるなどしてそちらに気をそらすのもよいでしょう。どうしても避けられない場合には音を立てるなどして中断しましょう。

④可能であれば子猫か遊び好きの成猫と遊ばせる

 遊びが好きな猫や同じような月齢の子猫と遊ばせると自然な欲求が満たされるため、飼い主を狙う頻度を下げることができます。ただし、猫は初対面の相手とすぐに遊びだすことはまずありません。子猫どうしであれば時間をかければなれますが、出会ったとたんにケンカをし始めることも多いので、最初はケージなどに入れて会わせましょう。また猫どうしでうつる病気もあるため、相手の健康状態も確認しておきましょう。

 最も良いのは子猫の時期から、きょうだい2頭で飼うことです。成猫になってケンカをし始めることがないわけではありませんが、ほとんどのケースで仲良く暮らし、飼い主をかむことも減らせます。

村田香織

村田香織(むらた・かおり)

もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「パピーケアスタッフ養成講座」メイン講師でもある。


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