2匹の子猫を飼うか否か 結婚同様、勢いが大事?!

こたつを出しました。なんだか幻想的
こたつを出しました。なんだか幻想的

 猫の譲渡会に参加したのだから、当然その日にどの猫を引き取るか決めるはずなのですが……。

 

 いざとなると、“猫と暮らす”ことが現実味を帯びてきて、なかなか決断できない。

 

 目の前にいるのは、夫が一目ぼれしたサバトラ柄の美人猫・よもぎちゃんと、NPOの方おすすめの愛嬌たっぷりサビ柄猫・蘭ちゃん。どちらも生後4ヶ月の子猫です。

 

 どうやら、この2匹が家に来ることが最有力らしい状況なのでした。

 

「ほら、抱っこしてみる~?」と、夫が蘭ちゃんを差し出してきましたが……。

 

「う、うん……」と、ふわふわした小さな頭にさっと触れるだけで精一杯。異常なほど人慣れしている蘭ちゃんですら触れない。この恐怖心は一体何なのか。

 

 そもそも、お化け屋敷は入れないし、ジェットコースターにも乗れない、急に名前を呼ばれると「ひゃー!」とビクつくようなビビり性の人間ではあります。

 

 とはいえ、猫を飼おうと決めて譲渡会に来ておきながら、猫に触りもしないなんて、ひどすぎるんじゃないか。ああ、私ってほんとダメな人間だ、と脳内で自分を責め始めていると……。

 

「この2匹で決まりだね。ねっ!」

 

 実家で何匹か猫を飼ったことがあり、飼いたくて仕方なかったウキウキモードの夫は、若い頃のベッキーのような元気さで問いかけてきました。

 

 その能天気さと、私の不安な気持ちを今すぐ取り替えたい。

 

 なんて現実逃避していないで、ここで決めなかったら、一生猫を飼うことはない気がする。結婚と同じように、猫を飼うかどうかも勢いが大事……なはずだ。

 

「う、うん。そうだねぇ」

 

 と、答えたか答えないかのうちに、夫はNPOの方に宣言しました。

 

「この2匹にします!」

 

「ありがとうございます。では、手続きはこちらで」

 

 住所などのプロフィールを用紙に書き込み、猫が保護されている家まで、どう受け取りにいくかといった話をしました。

 

 2匹が保護されていたのは、NPO代表の女性宅。常に20匹くらいの保護猫がいて、いっぱいいっぱいである様子は、事前にホームページを見て知っていました。

 

 でも……心の準備期間をくれ~! この2匹が嫌なわけじゃない。かわいいなぁと見ていただけの猫が、家に来る現実をまだ受け止めきれないナイーブなこの気持ちをどうにかさせて~! と、身勝手な感情を胸に秘めていると、夫がナイスな判断をくだしました。

 

「来週は用事あるし、準備もしたいし~。再来週に迎えにうかがいます」

 

 一瞬、躊躇(ちゅうちょ)する代表の女性。だって、どんどん猫が保護されてくるので、すぐにでも引き取りにきてほしいに決まっています。それに、通常はその日のうちに連れ帰るか、少なくとも1週間以内に迎えに行くのが通常のようでした。

 

 しかし、夫がおうかがいではなく、決定事項として2週間後を提示したので、うなずかざるを得ない状況に追い詰められた代表の方は……。

 

「あ、じゃあ、はい。2週間後に」

 

 ごめんなさい……でも、心の準備をする時間ができた。

 

 と、ほっとしたのもつかの間。多少先に延びたとしても、2週間後には猫が来る! 猫と暮らす! 人生初! 一体どうなるの!?

 

(ヤスダユキ)

sippo
sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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猫アレルギーですけど
普通の家で飼われている猫「あんず」と「モモ」。飼い主の主婦が、2匹との生活や発見をユニークな視点で切り取る人気連載です。
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